パワーハラスメントの知識
パワーハラスメントいう言葉は日本語での造語で、法律的な定義があるわけではありませんが、「仕事上の立場を使った過度な叱責やいじめ」としてとらえられています。
判例などでは、パワーハラスメントの定義のようなものも出てきています。
<パワハラの定義の判例>
会社の社内研修資料には、
「パワーハラスメントとは、他者に対して社会的勢力を利用し、職務と直接関係のない、あるいは適切な範囲を超えた嫌がらせの働きかけをし、これを繰り返すこと。
そしてその行為を受けた者が、それをハラスメント(嫌がらせ)と感じたときに成立します。
業務や報酬を与える権利を有する人(上司)とそれに従う人(部下)、あるいは集団を率いる人とその集団に所属する人との間には、大抵の場合心理的な大きなパワーの差があります。
優位な立場の人がこのパワーの差を利用して相手にハラスメント(嫌がらせ)を行うことをパワーハラスメントと言います。」
と記載がある。
そして、具体例の一つとして、
「仕事上のミスを注意するのに人格を否定するような発現(罵倒、暴言)がなされる」
が挙げられている。
(三井住友海上事件 東京高判 平17・4・20 労判914) |
部長の発言は、単なる業務指導の域を超えて、人格を否定し、侮辱する域にまで達しているといえ、不法行為と評価されてもやむを得ないものということができる。
部長のパワーハラスメント行為は不法行為を構成する。
(ヴィナリウス事件 東京地判 平21・1・16 労判988) |
組織・上司が職務権限を使って、職務とは関係のない事項あるいは職務上であっても適正な範囲を超えて、部下に対し有形無形に継続的な圧力を加え、受ける側がそれを精神的負担に感じたときに成立するものをいう。
(医療法人財団権和会事件 東京地判 平21・10・15 労判999) |
その表現は過酷でパワーハラスメントと評価されてもしかたがないものであり、それによって、原告のように従業員として経験も積み、一定の評価も得た人間が、本来であれば失地回復すべく業務に精励するはずであるにもかかわらず、2日間にもわたって会社を休む異常な事態と評価しうる。
(トヨタ自動車ほか事件 名古屋地判 平20・10・30 労判856) |
部長の部下に対する指導は、人前で大声を出して感情的、高圧的かつ攻撃的に部下を叱責することもあり、部下の個性や能力に対しる配慮が弱く、叱責後のフォローもないというものであり、それが部下の人格を傷つけ、心理的負荷を与えることもあるパワーハラスメントに当ることは明らかである。
また、その程度も、このままでは自殺者が出ると人事課に直訴する職員も出るほどであり、部長のパワハラは豊川市役所内では周知の事実であった。
(地公災基金愛知県支部長事件 名古屋高判 平22・5・21 労判1013) |
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