労働契約申込みみなし制度
違法な派遣により派遣スタッフが働く場を失うことを防ぐため、平成24年3月に成立した改正派遣法により、一定の規制に反して人材派遣を受け入れていた事業主は、派遣スタッフに対し、直接雇用の労働契約の申込みをしたものとみなす制度が創設されました(派遣法第40条の6第1項)。
ただし、今回の法改正のうち、この規定のみ施行が先送りにされ、平成27年10月(この法律の施行の日から起算して3年を経過した日)から施行されることになっています(派遣法付則第1条)。
派遣先が労働契約の申込みをしたとみなされるのは、次ののいずれかの行為を行った場合です。
@派遣スタッフを派遣禁止業務(派遣法第4条1項各号)のいずれかに従事させること。
A一般労働者派遣の許可または特定労働者派遣の届出をした派遣元事業主以外の者(つまり無許可・無届の事業主)から人材派遣を受けること。
B派遣受入可能期間(派遣法第40条の2第1項)の規定に違反して人材派遣を受けること。
C請負その他人材派遣以外の名目で契約を締結(つまり「偽装請負」など)し、「労働者派遣契約の締結に際し定めるべき事項」(派遣法第26条1各号)を定めずに労働者派遣を受けること。
つまり、派遣先からその派遣スタッフに対し、その時点における派遣スタッフの労働条件と同じ内容の労働契約の申込みをしたものとみなされます。
ただし、派遣先が、その行為が違法であることを知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときは、この限りではありません。
労働契約の申込みをしたものとみなされた派遣先は、その労働契約の申込みの理由となった行為が終了した日から1年を経過する日までの間、この申込みを撤回することができません(派遣法第40条の6第2項)。
つまり、派遣スタッフは、労働契約の申込みを承諾するかどうか1年間のうちに意思表示することができます。
労働契約の申込みをしたものとみなされた派遣先が、その中込みに対して1年間の内に、派遣スタッフから承諾または承諾しない旨の意思表示を受けなかったときは、その申込みは効力を失うことになります(派遣法第40条の6第3項)。
つまり、派遣先が特に意思表示をしなくても、自動的に労働契約の申込みは撤回されます。
労働契約の申込みみなしの対象となったスタッフを派遣していた派遣元は、派遣先から求めがあった場合、速やかにその時点における派遣スタッフの労働条件の内容を通知しなければなりません(派遣法第40条の6第4項)。
厚生労働大臣は、派遣先または派遣スタッフからの求めに応じて、労働契約の申込みみなしの対象となる行為のいずれかに該当するかどうか、また、労働契約の申込みを承諾したスタッフを派遣先が就労させないとき、必要な助言、指導または勧告をすることができることになりました(派遣法第40条の8第1項、2項)。
さらに厚生労働大臣は、派遣スタッフを就労させるべき旨の勧告を受けた派遣先が従わないときは、その旨を公表することができることになりました(派遣先第40条の8第3項)。
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