派遣スタッフへの懲戒と損害賠償
一般の企業では、労働者を使用する者に、企業秩序の維持確保のために、労働者の行為へ懲戒を行う権利が認められています(最高裁一小昭和58年9月8日、関西電力事件ほか)。
この場合、使用者は、就業規則で懲戒に関する規定を定め、法令に反しない範囲で実施する必要があります。
派遣スタッフに、派遣先の就業において懲戒に値するような行為があった場合、派遣先は自社の社員と同じように、停職や解雇といった懲戒処分を行えるかについて、職場の秩序を維持するためには、派遣スタッフに派遣先でのルールに従ってもらう必要があります。
また、遅刻や欠勤などの規律違反を放っておいては、他の社員に示しがつきません。
しかし、派遣先は、派遣スタッフヘの指揮命令権はありますが、自らの社員ではないため、懲戒に処す権利はありません。
したがって、派遣スタッフへの懲戒は、雇用主である派遣元が、派遣元の就業規則の規定を根拠として行うことになります。
判例にも、派遣先での勤務態度言動に問題があったという派遣スタッフの解雇を派遣元に認めたものがあります(東京地裁、平成12年11月14日、アラコム事件)。
派遣先が派遣スタッフによって損害を被った場合でも、派遣先には直接懲戒に処す権利はありませんが、派遣元に損害賠償を求めることができます。
派遣元は、使用者責任(人を使って事業をする者は、雇われている者が仕事をするうえで他人に加えた損害を賠償しなくてはならない。民法第715条)を負っているからです。
実際、派遣スタッフの派遣先での横領について、派遣元に損害賠償を命じた判例などもあります。
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