派遣として雇用するときの明示事項
派遣会社は、派遣先との契約に基づき、登録スタッフの中から対象者を選び、まずは自社の社員として雇用契約を結びます。
このとき、派遣スタッフという身分で雇用されることと、紹介予定派遣であるときはその旨を、事前に明示しなければなりません(派遣法第32条1項)。
派遣スタッフではない労働者を既に雇用していて、新たに派遣の対象にしようとするときも、あらかじめ労働者にその旨を明示し、同意を得る必要があります(派遣法第32条2項)。
労働基準法では、企業が労働者を雇用する際に、労働条件を明示することを定めています(労基法第15条)。
明示に際しては、口頭で伝えてもよいものと、文書で伝えなければならないものがあります。
一般には「労働条件通知書」を交付して明示します。
<派遣法により明示すべきとされている労働条件>
@従事する業務の内容
A従事する事業所の名称および所在地その他派遣就業の場所
B就業中の派遣スタッフを直接指揮命令する者に関する事項
C派遣期間および派遣就業をする日
D派遣就業の開始および終了の時刻ならびに休憩時間
E安全および衛生に関する事項
F苦情の処理に関する事項
H紹介予定派遣に係るものである場合には、従事する業務の内容、労働条件、その他紹介予定派遣に関する事項
I派遣元責任者および派遣先責任者に関する事項
JC派遣就業日またはD所定就業時間以外に就業させる日または延長時間
K派遣スタッフの福祉の増進のための便宜の供与にする事項
L派遣業務が派遣受入期間の制限の除外業務である合、それぞれ次の事項
<労働基準法により明示すべきとされている労働条件>
【文書により明示すべき事項】
@労働契約の期間
A就業の場所
B従事する業務の内容
C始業および終業の時刻、休憩時間、就業時転換、所定労働時間を超える労働の有無
D休日
E休暇
F賃金の決定、計算および支払いの方法、賃金の締切りおよび支払いの時期
G退職
【口頭で明示してもよい事項】
H昇給
I退職手当の適用労働者の範囲、決定、計算および支いの方法、支払時期
J臨時に支払われる賃金・賞与、それに準ずる賃金
K最低賃金
L労働者に負担させる食費、作業用品その他
M安全および衛生
N職業訓練
O災害補償および業務外の傷病扶助
P表彰および制裁
Q休職
就業条件を明示する一方、派遣法でも、派遣元は派遣就業に際してスタッフに、派遣先での就業条件をあらかじめ書面で明示することが定められています。
なお、緊急の必要があるため書面による交付ができない場合、書面以外の方法によることもできます。
ただし、派遣スタッフが請求した場合や、派遣期間が1週間以上に及ぶ場合は、派遣開始後にあらためて書面で交付しなければなりません(派遣法第34条、派遣則第26条、派遣元指針第2の6)。
労働基準法の労働条件の明示と、派遣法の就業条件の明示は重複する事項が多いですから、1枚の「労働条件通知書兼就業条件明示書」として交付してもかまいません。
平成24年10月の法改正により、派遣元は、派遣スタッフを雇い入れるときに、スタッフに対し派遣先が支払う派遣料金の額を明示することになりました(派遣法第34条の2)。
派遣料金の額は、「その労働者本人に関する派遣料金(日額、月額等を問わない)」か「事業所の平均的な派遣料金(1人1日当たりの額)」のいずれかにより明示します(派遣則第26条の2第3項)。
なお派遣料金の明示は、書面の交付、FAXまたは電子メールの送信により行うものとされています。
派遣元は、派遣先から後に説明する派遣可能期間(ガ参照)を定めたこと、または変更したことの通知(派遣法第40条の2第5項)を受けたときは、遅滞なく、その通知に係わる業務に従事する派遣スタッフに対し、派遣受入期間の制限に抵触することとなる日を明示しなければなりません(派遣法第34条2項)。
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