外部の労働組合から団体交渉
<事例>
太郎さんは、問題行動が多く、その度に上司から再三にわたり注意を受けていましたが、これでは他の従業員にしめしが付かないと、太郎さんの問題行動があるたびに始末書を書かせるようにしました。
そして、始末書が5枚を超えて、6回目の不祥事を起した際に、会社は太郎さんを勤務成績不良として即日解雇しました。
数日後、会社宛に、太郎さんが加入している労働組合から、太郎さんの解雇を不当として、団体交渉をしたいという旨の内容証明が届きました。
この労働組合は外部の合同労働組合でした。 |
団体交渉とは、労働条件の維持・改善のために、労働組合法に基づいて設立された労働組合が、その代表者を通じて使用者と労働協約の締結その他の事項に関して交渉することをいいます。
労組法は使用者が正当な理由がないのに、雇用する労働者の代表者等との団体交渉を拒むことは不当労働行為として禁じています。
労組法では、労働組合を、「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体またはその連合団体をいう」と定めています。
さらに労働者とは、「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいう」としており、構成員を自社単一の社員に限るという定めがないので、加入員が自社の人間一人である外部の団体も、「労働組合法に基づいて設立された労働組合」として、使用者と団体交渉できることになります。
ですので、会社はこの申出があった場合、正当な理由がないのに、交渉を拒むことはできないのです。
この外部労組は「合同労組」といわれ、所属する職場や雇用形態に関係なく、産業別、業種別、職業別、地域別といった形で組織されており、主に中小企業や零細企業の従業員が加入しており、原則として個人を単位として加入します。
本件の場合、解雇された元従業員なので労働者といえるかどうかですが、厳密には「雇用する労働者」とはいえませんが、例えば、不当労働解雇としてその効力を争っている場合や、未払賃金など労働契約の清算について争いがある場合には、その範囲内において、「雇用する労働者」であると解されており、使用者は団体交渉に応じる義務があるとされます。
会社が団体交渉を拒否した場合、組合は労働委員会に団交応諾の救済申立ができるとされています。
この申立を受けた労働委員会は、その労働組合が法に適合した団体であり、当該会社の労働者が、その労働組合に加入している事実が確認できれば、正当な理由がない限り、会社に対して救済命令を出すことになります。
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