管理職昇進で給料減
<事例>
就業規則では管理職者として課長補佐、課長、部長を置いており、管理職には時間外労働と休日出勤の割増賃金を支払わず、課長10万円、部長20万円の役職手当があるのですが、課長補佐の手当はわずか5000円です。
さらに、部課長に免除されているタイムカードも課長補佐は一般の社員と同じく押さねばならず、遅刻や早退の時間に応じて賃金がカットされるのです。
太郎さんは、割増賃金が支給されなくなり、昇進しても結局給料が大幅に減っていることに納得できず、割増賃金の支給を求めました。 |
本件の場合、課長補佐職は、実態が何ら一般社員と変わるところがなく、会社は就業規則中の「課長補佐には割増賃金を支給しない」という規定を改め、太郎さんに割増賃金を支払う必要があります。
企業では一般社員のほかに、管理職者としての社員として課長とか部長といった役職がつけられており、労働条件は一般社員と異なります。
違いは、役職手当が付く代わりに残業代が支給されない、出退勤の時間が比較的裁量に任されているなどです。
労働基準法41条では、社員であっても次のいずれかに該当する者については、労働時間、休憩、休日に関する規定を適用しないこととされているのです。
@農業、水産業に従事する者
A監督または管理の地位にある者
B機密の事務を取り扱う者
C監視または断続的労働に従事する者 |
(労働時間等に関する規定の適用除外)
労働基準法第41条 この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
1.別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者
2.事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
3.監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
このうちCだけは労働基準監督署の許可が必要となりますが、いずれにしても就業規則でこうした社員には「割増賃金を支払わない」ということを明記しておけば、時間外労働や休日労働を行なわせても、会社は割増賃金を支払う必要はありません。
本件では、太郎さんが「監督または管理の地位にある者」に該当するかどうかが問題となり、これは次の要件を満たすものでなければならないとされています。
@労務管理について経営者と一体的立場にあること
A出退勤の時間が厳格な制限を受けていないこと |
太郎さんは、割増賃金の支給対象から除外されているにもかかわらず、@Aに該当せず、一般の社員と変わるところがありませんから、会社は就業規則中の「課長補佐には割増賃金を支給しない」という規定を改め、太郎さんに割増賃金を支払う必要があるのです。
労働時間に関する適用除外者としての管理職者であるかどうかは、名称ではなく実態で判断する必要があるのです。
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