会社のパソコンで私用メール
<事例>
女性新入社員の花子さんは、会社の備品であるパソコンを使用して、私用メールをしているらしく、花子さんが有給休暇をとった日、課長は花子さんのパソコンを調べたところ、多くのメール履歴が出てきました。
花子さんの出勤の日には少なくとも20通の送受信記録があり、中には恋人とのやり取りなどもあったのです。
翌日、課長は花子さんが出勤してきたところ強い口調で叱責し、半月の減給処分を言渡しました。
しかし、花子さんは勝手に人のメールを見たことは、プライバシーの侵害であると主張しました。 |
労働契約を結んだ以上、労働者は就業時間中、労働力を提供する債務を負い、そのため職務に専念する義務が生じます。
ですので、花子さんのように就業時間中、しかも会社の備品であるパソコンを利用して、頻繁に私用メールを送受信していたのであれば、会社はその労働者を処分することはできます。
花子さんの休暇中無断でメールを閲覧した会社の監視行為について、会社は社の備品であるパソコンが、職務本来の目的に使用されているか否かを監視することに権限があるといえます。
部外秘の情報や顧客リストが不正に流用されていたり、労働者がよからぬ有料サイトを閲覧していたりすれば、会社の信用失墜を招き、取り返しの付かない事態になることもあるからです。
しかし、会社の監視行為が無制限に許されるわけではなく、開始する立場でない者や、監視の目的が興味本位で、必要以上の閲覧をすれば、それはプライバシーの侵害にあたると解されています。
判例では、女性社員が上司のした無断メール閲覧につき、その行為がプライバシーの侵害であるとして損害賠償請求した事件では、次の点を指摘して、その請求を棄却しました。
□当該女性従業員がした私用メールの頻度が常識の範囲を超えていたこと。
□監視される結果を招いた責任が本人にあること。
□監視の目的・閲覧の方法が社会通念を逸脱していなかったこと。 |
逆に言えば、会社のした監視行為において、その目的・閲覧の方法が社会通念を逸脱していれば、プライバシーの侵害にあたるのです。
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