ネットの誹謗中傷で懲戒解雇
<事例>
太郎さんは私立高校の教師をしていますが、ネットの掲示板に、「**高校の校長は裏口入学の見返りに多額の謝礼を得ている」と自分の勤める学校の誹謗中傷の書き込みをしてしまいました。
これを見つけた学校関係者は、事実無根であるとして、掲示板の管理者を通じて、書き込みをした者を調べたところ、太郎さんであると判明しました。
太郎さんは日頃から学校の運営方針に批判的でした。
学校は事実無根の記事を、インターネットの掲示板に書き込んだとして、太郎さんが学校の名誉や信頼を著しく傷つけたことを理由に懲戒解雇処分としました。 |
社員が正義感から自社の不正を告発することは非常に勇気のいることで、こうした内部告発者を保護する目的で「公益通報者保護法」という法律が作られました。
この法律では、通報者が会社でも行政でもない、第三者で被害の発生や拡大の防止のために必要であると認められるものに対する通報は、通報対象事実が生じ、または、まさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある一定の場合に、通報が認められています。
公益性が重視されますので、この法律が適用されるか否かはそうした観点から個々に判断されることになります。
内部告発の判例では「仮に内部告白の事実が真実でないとしても、真実と信じるにつき相当な理由がある場合には、内部告発の目的の公益性、内部告発の内容の重要性、内部告発の手段・方法の相当性を総合的に考慮して、内部告発が正当性を有することがある」と判断しているものがあります。
会社は、内部告発が事実でなかったというだけで、内部告発した者を、当然に解雇することはできないと考えられるのです。
本件の場合にも、真実と信じるにつき相当な理由があったとする太郎さんの主張に対し、そうでなかったことを学校側が立証できなければ、当然に解雇することはできないと考えられるのです。
ただし、個人・団体が特定できる形で書き込みをしていますので、名誉毀損につき、学校あるいは校長は、太郎さんに対して損害賠償を請求することができます。
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