退職願提出後の撤回
<事例>
太郎さんは、友人に共同事業を始める話を持ちかけられ、会社を退職することにしたのですが、退職願が受理され、補充要員の手配も付いた退職予定3日前に、共同事業の話がつぶれてしまいました。
太郎さんは急いで退職願の撤回を申し出ましたが、会社は代わりの社員を雇入れることになっているとして、申出を拒否しました。
太郎さんはまだ退職したわけではないので撤回できるはず、もしできないのなら解雇扱いにするよう主張しました。 |
本件の場合、会社は太郎さんの退職願受理し、かつ代替要員も確保しているという事情がありますから、太郎さんは退職願を撤回することはできないと考えられます。
いったん提出した退職願を撤回できるかどうかは、退職願がどういう性質のものであるかによって決まり、次のとらえ方ができます。
退職の申し込みの場合は、退職願を出した後でも、その後の話し合いによっては取下げられる余地があります。
退職の申し込みは、使用者の合意をもってはじめて労働契約関係が終了しますから、会社による合意の意思表示が、当該労働者に到達するまでの間は、社員は一方的にこれを取下げることができます。
しかし、取下げによって会社に不測の損害や困惑などを不当に強いるような特段の事情がない限りです。
到達後であれば、原則として社員は会社の承諾がなければ、これを取下げることはできません。
例外として、社員が会社から詐欺とか脅迫によって退職願を出された場合には、撤回することが認められます。
また、労働者の一方的な意思表示の場合は、会社の意思に関わりなく、期日の到来をもって自動的に労働契約関係を終了させるものですから、退職願を提出した時点で、原則として社員は会社の承諾なしに取下げることはできません。
退職願の性質の判断は、一般的には社員が慰留は受け付けないとか、すでに転職先と約束してあるなど、一方的な意思表示であることを明らかにする言動を取らない限り、退職の申し込みとして取り扱われると考えられます。
太郎さんの場合、会社は退職願を受理したうえ、代替要員も確保しているという事情がありますから、撤回できないと考えられるのです。
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