競業会社に転職で退職金不支給
<事例>
会社でトップ営業マンの太郎さんは、厚遇を示すライバル会社に転職することにしました。
会社はこのような事態を予測して、社員の競業禁止規定を就業規則に追加し、それは営業部に限り「退職後1年以内に同市内の同業他社へ就職した場合には退職金を不支給とする」という内容でした。
会社は太郎さんがこの競業禁止規定に該当するとして退職金の支払を拒否しましたが、太郎さんはその規定そのものが無効であるとして、退職金の支払を求めました。 |
本件の場合、会社は就業規則に競業禁止の規定と、違反した場合の制裁規定をおいており、なおかつ太郎さんの競業禁止違反は明らかですから、退職金の減額は認められますが、全額不支給は難しいと考えられます。
労働者には、憲法22条で規定する「職業選択の自由」があるのですが、この権利を使った結果、他社に著しい不利益がもたらされる場合には、職業選択の自由にも、ある程度制限が加えられると解されるのです。
会社の内部機密を熟知している社員が同業他社に転籍し、この機密を利用すれば、多大な損害を被ることになりますから、会社は社員の退職後の転職先の制限規定を設けているのです。
この目的を達成するために設けられる罰則は、「規定に反した場合には、退職金を減額する」というものが一般的で、退職金の減額はできるとされます。
ただし、退職金を減額しようとするのなら、減額をすることの具体的な規定がなければならないとされ、それが有効であるかどうかは次のことを総合的に判断して決められます。
@競業が禁止される期間
A競業が禁止される場所的範囲
B制限の対象となる職種の範囲
C代償の有無 |
例えば、業務上の秘密などに関係することがないような社員にまで転職先に制限を加えるような規定、退職後10年間もの長期間にわたって同業種に従事することを禁止するような規定などは、当然無効とされます。
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