会社の備品を持ち帰り懲戒解雇
<事例>
太郎さんは会社の給湯室から、備品である100円相当のお茶をポケットに入れ、自宅へ持ち帰りました。
これを見ていた上司は太郎さんに注意をしましたが、みんなやっていることだからと言って反省もしません。
会社は就業規則で定める懲戒解雇事由の「会社の財産を窃取したとき」を適用され、懲戒解雇を申し渡されました。 |
本件の場合、会社の損害そのほかの事情を考慮すると、懲戒解雇は重すぎる処分として無効になる可能性が高いと考えられます。
懲戒解雇は、そのほかの懲戒処分と異なり、社員に経済的・社会的に重大な不利益をもたらすもので、客観的にその社員の行為が情状酌量の余地がなく、重大で悪質なものと認められる場合に限るとされています。
こうした理由もなく懲戒解雇した場合、解雇そのものが無効とされます。
社員による会社の金品横領は、原則として懲戒解雇の理由となり、バスやタクシーの運転手が運賃を着服するようなことは、放置すると会社の存亡にかかわる重大な規律違反とみることができ、金額の多寡にかかわらず懲戒解雇される可能性があります。
着服したのが金銭ではなく事務用の消耗品である場合には軽い処分ですませるべきであることもあります。
判例では、酒に酔って歳暮の石鹸などを着服した勤続20年の社員の懲戒解雇を無効としています。
懲戒処分を定めた規定では、対象物を「金品」と一括していることが多く、金銭と物品は分けて考えるべきで、着服による事業場の損害や当該社員の個別的な事情も勘案したうえで、懲戒解雇か否かを判断すべきです。
太郎さんの場合は、会社の損害そのほかに事情を考慮すると、懲戒解雇は重すぎる処分として無効になる可能性は高いのです。
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