懲戒解雇で退職金支給
<事例>
食品加工会社に勤める太郎さんは、作業マニュアルを無視したずさんな製品管理で、顧客に不良品を納入してしまいました。
そのため、会社は信頼を失い、多くの取引先を失ってしまいました。
会社は、太郎さんを懲戒解雇し、懲戒解雇だからといって退職金を支払いませんでした。
しかし、会社の就業規則には退職金を不支給とする場合の定めは何もなかったため、支給要件を満たしているとして、太郎さんは退職の支払を請求してきました。 |
会社は太郎さんに退職金を支払う必要があると考えられますが、いったん太郎さんに退職金を支払った後に、損害賠償請求を起すことができると考えられます。
退職金は必ずしも支給しなければならないものではありませんが、就業規則などで支給条件をあらかじめ明確にしている場合には、会社に支払義務が生じます。
支払方法など一部に異なる規定が適用されるものの、退職金は法律上、賃金と同じ扱いになります。
退職金を不支給とする場合を設けるのであれば、これに関する定めも置かなければならず、定めがない限り、懲戒解雇であっても、会社は退職金を支払う必要があるのです。
判例では、「懲戒解雇された人には退職金を支給しないと」という慣習が成立している会社では、就業規則に不支給とする規定が明記されていない場合でも支給しないでもよい場合があるとしましたが、最終的には、その会社には不支給の慣例はなかったものとして、退職金を支払うべきであるとされました。
また、不支給の規定があっても、懲戒解雇であれば当然に退職金を全て没収できるというわけではありません。
懲戒解雇することとなった理由が、横領や背任、名誉毀損や器物の損壊など「相応の損害」を会社に与えた場合に限り、全額を没収できるとしていましたが、最近の傾向としては、余程のことがない限り全額不支給は認められないと傾向となっています。
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