試用期間の延長
<事例>
会社は、一級建築士である太郎さんを雇入れる際に、業務が専門的な職務であることから、入社後2ヶ月間の試用期間を設けることとし、太郎さんもこれを了承しました。
太郎さんが働き始めて数日後に交通事故を起して入院したため、会社に復帰したときには、もう試用期間の残りは2日しかなく、会社としては太郎さんの能力、適性を判断できませんでした。
会社は太郎さんの試用期間を2ヶ月延長すると申し渡したのですが、太郎さんは本採用するように主張しました。 |
試用期間を設ける場合には、就業規則などでその期間をあらかじめ定めておかなければならず、そして、延長があるかもしれないことが記されていない限り、この期間は、会社が一方的に延長できません。
それは、試用期間中は、解雇の有効性の認定が比較的緩やかであり、一定期間は最低賃金法の適用もなく、社員にとっては不利や状況に置かれているからです。
また、たとえ試用期間を延長する場合がある旨の規定があったとしても、これだけを根拠として使用者が期間延長することは許されず、延長することについて合理的な理由が求められるのです。
試用期間の延長の定めがない会社は、原則として延長はできませんが、さまざまな理由で、当初の試用期間中に採否の判断をできない場合があります。
判例では、会社の慣行として長年にわたって試用期間の延長が随時行なわれてきており、社員も慣行によるものとして延長を受け入れた事実がある場合については、これを認めています。
太郎さんのように社員側の都合で判断が困難になった場合には、そのままだと不採用の判断をせざる得なくなります。
これを救済するために試用期間を延長することは、合理的な理由があると認められ、合理的な期間に限定して延長が認められると考えられます。
判例では、「試用期間の延長に関する試用規則の適用にあたっては、これを首肯できるだけの合理的理由のあることを必要とする」としています。
また、「就業規則に「新たに採用する従業員は雇入れ後2ヶ月を試みの期間とする」旨の定めがある場合の試用期間は、右事項の文言及び試用制度の本旨からみて、会社は新規採用者に従業員としての適格性を疑わせる事績ないし本人の許諾のない以上、一方的に延長、更新することはできない」としています。
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