出向拒否で減給処分
<事例>
関連会社から技術指導のために社員を1人出向させてほしいと要請され、社長は太郎さんに出向命令を命じたのですが、太郎さんは拒否しました。
その理由は、会社から分離独立したばかりの関連会社の先行きに不安を感じたためです。
結局、他の社員が出向することになりましたが、社長は転籍出向という業務命令に違反したとして、太郎さんを減給処分にしました。
社長は、就業規則に「重大な業務命令に違反には2ヶ月にわたり減給10分の1とする」との規定があり、これを適用したと主張しました。 |
会社には、就業規則などの出向に関する包括的規定がありませんから、一方的に転籍を命じることはできず、減給の処分の規定があったとしても、その適用は無効であると考えられます。
転籍出向は、在籍出向とは異なり、いったん出向元との労働契約を終了させる形となり、新たに出向先と労働契約を結びますので、原則として社員の個別的な同意が必要なのです。
ただし、必ずしも個別的同意を必要としないこともあり、転籍出向を社員に強制できるかどうかは次のことを考慮して決められます。
@転籍させることの合理性
A転籍後の労働条件維持の保障 |
経営上の必要性が認められ、配置転換や出向について最大限の配慮をし、一定期間の労働条件の維持及び雇用の保障をすれば、業務命令として転籍を命じることができると考えられています。
判例では、「転属先の労働条件などから、転属が著しく不利益であったり、同意の後の不利益な事情変更により当初の同意を根拠に転属を命ずることを不当と認められるなどの事情のない限り、入社の包括的同意を根拠に転属を命じ得る」としました。
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