休日に出張の移動の賃金
<事例>
会社は太郎さんに、定期的に会議のため出張に行かせています。
通常は、水曜日に出かけて金曜日に帰るのですが、そのときは土曜日に会議があるため、金曜日に出かけて日曜日に帰るスケジュールになりました。
太郎さんは、この会議で決まった商品サンプルを本社に持ち帰ることを命じられ、その職務も遂行しました。
会社の休日は毎週日曜日ですので、太郎さんはこの日曜日を休日労働と考え、移動に要した時間分の賃金を請求しました。
しかし、会社は単なる移動時間だからといって賃金支払を拒否したのです。 |
太郎さんは、商品サンプルの持ち帰りという業務を命じられていたと認められますから、これは単なる移動ではなく労働していると扱われることになり、会社は休日労働の賃金を太郎さんに支払わなければならないと考えられます。
会社は社員に対して、毎週少なくとも1回、または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
本件の場合、毎週日曜日を休日としており、太郎さんは日曜日には業務に従事する必要はありませんから、出張の移動であっても休日は潰れてしまいます。
しかし、出張先へ赴いたり出張先から帰るという行為は、いずれも業務を遂行するために不可欠でありますが、移動時間中は業務に従事しているわけではなく、この点は通勤中の時間と同じであるとされているのです。
ですので、出張のため出張先あるいは自宅への移動するだけの旅行日については、たとえその日が出張社員の休日であったとしても、使用者から特別の指示がない限り、休日労働とはならないのです。
しかし、移動中に貴重品などを運搬したり監視するといった特別の指示があれば、その時間は労働しているものとみなされます。
太郎さんは休日の移動中に商品サンプルの持ち帰りという業務を命じられていたと認められ、これは単なる移動ではなく、労働として扱われますから、会社は休日労働の賃金を太郎さんに支払わなければならないのです。
会社が社員に休日労働を命じるには、あらかじめ労働基準法36条の時間外及び休日の労働について取り決め、「三六協定」の締結が必要ですし、休日労働に対しては通常賃金の35%増しの賃金を支払わなければなりません。
ですので、会社としては、休日にかかる出張をさせないようにするか、休日の振替を行なったり、出張手当などを行なうとトラブルがなくなります。
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