制服の着替え時間も労働時間
<事例>
勤務先のレストランでは就業時の制服の着用が義務付けられているですが、太郎さんは終業時刻ぎりぎりに出勤し、着替えている間に始業時刻になってしまいました。
同僚の間違いで制服の一部であるネクタイのクリーニングが間に合っていなかったという事故も重なり、実際に働き始めたのは、定刻より30分も遅い時刻でした。
レストランは太郎さんに30分の労働時間に相当する賃金カットを行ないました。
太郎さんは、これに納得できず、制服に着替えるのも職務の一部であると主張し、賃金カットの取り消しを求めました。 |
本件の場合、レストランは社員が着替えのために要する時間を労働時間として扱う必要があり、太郎さんの賃金控除は認められないと考えられます。
社員に制服や作業着などの着用を義務付けている会社では、着替えに要する時間は労働時間に含めない旨、就業規則などで定めています。
しかし、着替えなどの作業付帯行為に要する時間が労働時間に当るか否かは、就業規則や労働協約などの定めで決まるのではなく、次の要件を満たすかどうかで決まるのです。
@その行為が業務を行なう上で必要不可欠である。
Aその行為が使用者の指揮命令下で拘束強制的に行なわれている。 |
この2つの要件を満たす場合には、行為に要する時間は労働時間として扱われます。
@の「必要不可欠」な場合とは、労働安全衛生法で定める防護服の着用など法令上義務付けられている作業着の着替えや、社内の規則や習慣で義務付けられているものをいいます。
社員が就業を命じられた業務の準備などを事業場の中で行うことを義務付けられているか、または余儀なくされたときは、使用者の指揮命令下に置かれたものとして扱われます。
着替え時間を労働時間と認めた造船所の判例では、業務の準備行為を事業所内で行なうことを義務付けられたときは、その行為は使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるとしています。
そのうえで、始業時刻に着替えを始めたとして会社が賃金カットしたことにつき、従業員は作業服などの装着を義務付けられていたのだから、着替え時間は労働時間に含まれるものと判断し、会社にカットした賃金の支払を命じました。
また、着替え時間を労働時間と認めなかった自動車会社の判例では、「着替え履き替えは・・・労働力の提供のための準備行為であって、労働力の提供そのものではないのみならず、特段の事情のない限り使用者の直接の支配下においてなされるわけではないから・・・労働時間に含めるか否かは、就業規則にその定めがあればこれに従い、その定めがない場合には職場慣行によってこれを決するのが最も妥当」としています。
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