労働時間外の研修の賃金
<事例>
会社は週に一度、社員が外回りの仕事から帰社してきた就業時間に研修を行なっていましたが、勤務時間外の研修を受ける人は少なく、部長は研修に出ない人は査定を下げる旨を言渡しました。
そこで、太郎さんは研修時間についての賃金を支払ってほしい旨を主張しました。
しかし、会社は明確な業務命令が出たわけではないので、社員が自主的に出席しているという理由でこれを拒否しました。 |
会社はこの研修に参加した時間を労働時間として扱い、賃金を支払う義務があります。
このように所定労働時間外の研修などが、使用者の明示的な指示によって行なわれ、参加を強制される場合には、これに要した時間は労働時間として扱われます。
明示的な指示がなく研修などに参加した場合に、これが労働時間として取り扱われるについて、原則として、この場合も、黙示的な指示があると認められるときには、労働時間として扱われることになります。
どういう場合に黙示的な指示があったかが争われた裁判では、次の基準で判断されるとしています。
@参加する社員の職務内容に関連性のあるものか否か
A職場規律や業務効率などの維持向上に資するものであるか否か
B労働安全衛生法などの法令にもとづいて実施するものであるか否か
C福利厚生の一環として実施するものであるか否か
D参加しないことによる不利益取扱の有無 |
本件の場合は、Dに当り、上司から「研修に参加しなければ査定を下げる」という不利益取扱がされることは、研修参加には黙示的指示があったと認められますから、会社は研修参加時間に対して賃金を支払う義務があります。
この場合では法定労働時間を超えている可能性もあり、勤務時間外に研修などを行なうときは、三六協定の締結、割増賃金の支払などが必要になります。
教職員の職員会議に対する時間外勤務命令についての判例では、「命令権者によって常に明示的になされなければならないものではなく、正規の勤務時間以外の時間にわたる場合も含めて、これを主宰する所属学校長の指示(職務命令)にもとづく職員会議であることが明らかな場合には、当該時間に対する時間外勤務手当を支払う義務がある。」としてます。
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