手当がなくなる配転の拒否

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手当がなくなる配転の拒否

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手当がなくなる配転の拒否

<事例>

会社では休日出勤がほとんどないのですが、太郎さんが所属する技術部門だけは、年中無休で製造ラインを動かしているため、休日出勤が命じられます。

そのため、他の部門にはない技術職手当として2万円が支給されています。

太郎さんは、この度、事務職への人事異動を命じられたのですが、技術職手当の2万円を失うことになるため、配転を拒否しました。

太郎さんが配転を拒否することは難しいと考えられます。

技術手当がなくなるのはデメリットですが、休日出勤がなくなるというメリットもありますから、この配転命令は合理的な範囲であると考えられるのです。

社員に配転を命ずることは、会社の指揮命令権に含まれており、権利の濫用に当たらない限り認められています。

その一方で、会社が一方的に賃金を切り下げることは、よほどの理由がない限り認められることではありません

「よほどの理由」とは、このままでは事業の存続が危ういとか、社員に重大な責任があるといった事情をいいます。

例えば、配転によって基本給が大幅に下がるようなときは、いかに使用者の裁量権が認められているからといっても権利の濫用とされ、配転命令は認められない可能性が高いといえます。

ただし、社員がそれまでついていた職務がなくなることとなり、雇用を維持するためにはどうしても基本給の減額を伴う配転を行なわなければならないなどの特別な事情がある場合には、この限りではありません。

例えば、営業部員が事務職に配転になったために、その人は営業手当をもらえなくなるという場合もあり、その営業手当が「営業職を行なう上で必要な出費」として支給されていたのであれば、配転によって、その社員のその出費もなくなるため不当な賃下げにはあたらず、配転命令は有効です。

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