タイムカード打刻時間の残業代
<事例>
太郎さんは上司との折り合いが悪く、依願退職したのですが、しばらくして太郎さんから会社に対し、内容証明郵便が送られてきました。
「在職中の時間外手当が支給されておらず、退職2年前に遡り、タイムカードの打刻時間通りに時間外手当を請求します。」との内容でした。
確かに、太郎さんのタイムカードの履歴によれば、毎日夜遅くまで社内にいたようで計算すると膨大な金額になり、会社はこんな時間まで残業するような業務命令はしていません。
会社は太郎さんが勝手に居残った時間にまで、残業代の支払はできないと主張しました。 |
所定労働時間内は、特別な事情がない限り、事業所内にいた時間が管理者の指揮命令下に、労働者が労働を提供していた時間とみなされます。
しかし、それを超えて社内にいた時間は、本当に管理者の指揮命令下にあったかどうかが判断されなければなりません。
例えば、電車通勤の労働者が、電車のダイヤに合わせて終業時刻を越えて会社に居残った場合や、他の同僚が残業を命じられ、自分ひとりでは帰りづらいので、みんなが終わるまで待っているというような、いわゆる付き合い残業といった労働の提供を伴わない時間まで、残業を支払わなければならないのでしょうか?
判例は、タイムカードの打刻時間だけで、残業手当の支給対象となる残業をしていたかどうか画一に決められないとしています。
タイムカードの打刻時間において、出社した時刻と退社した時刻は確認できますが、所定労働時間を超過した時間につき、管理者の指揮命令があったかどうかまでは判断できないからです。
ですので、タイムカードの記録だけで、客観的に管理者の指揮命令があったことを示す証明がない場合には、会社は残業代の支払を拒否してもよいとされるのです。
労働者に必要性のない残業をさせないための対処法として、残業を承認制にし、残業をする前にそれをしなければ処理できない業務内容と、予定所要時間をあらかじめ労働者に書面で申告させ、上司が確認・押印等をすることにより、承認を得てから残業させるような方法があります。
また上司不在時に、急な残業を必要とする業務が入った場合には、上司への電話確認が可能であればそれを書面申告に代え、連絡がつかない場合には、詳細な業務報告書を後日速やかに提出させ、事後承認を得ます。
残業を行なった事後的にも報告を義務付け、こうした手続を経ないでした残業は、時間外手当を支払わないとすることなどを就業規則等で規定しておくことです。
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