自宅謹慎中の賃金請求
<事例>
太郎さんは、競業関係にある他社に顧客リスト売り渡したために、自宅謹慎処分にされました。
処分後、会社は改めて就業規則の懲戒規定にもとづき、太郎さんを減給処分としたうえ降格配転しました。
太郎さんはこれに対し、就業規則には自宅謹慎に関する定めがないので、謹慎期間中の賃金を支払うよう請求しました。 |
会社は太郎さんに、自宅謹慎中の賃金を支払う義務があるものと考えられます。
社員の背信行為などがあり、それが就業規則の懲戒事由に該当する場合は、懲戒規定にもとづいた処分が下されます。
このとき、事実調査や処分の決定に時間がかかるようであれば、就業規則に基づいて、社員に自宅謹慎や自宅待機を命じることになります。
就業規則で自宅謹慎や自宅待機に関する規定がない場合、判例では、「自宅謹慎は雇用契約上の業務命令として許される」としています。
会社が指揮監督権をもっている以上、自宅謹慎を申し渡すこともその権利行使の一つとして認められ、労務提供の待機とされます。
本件の場合も、就業規則に定めはなかったのですが、業務命令として自宅謹慎を命じることができますが、業務命令である以上、実際の労務の提供がなくても、原則として、賃金は支払わなければなりません。
ただし、「当該労働者を就労させないことにつき、不正行為の再発、証拠隠滅のおそれなどの緊急かつ合理的な理由が存在するか、またはこれを実質的な出勤停止処分に転化させる懲戒規定上の根拠が存在する」場合には、会社は賃金の支払を免れることができるとした判例があります。
太郎さんの場合でいえば、そのまま勤務を続けさせると、さらにリストを売り渡したり、リスト売却の証拠隠滅をはかるおそれがある場合などは、業務命令としての自宅謹慎に対しても、賃金を支払わなくてよいのです。
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