労働組合活動と不当労働行為の判例
<判例>
X法人が設置するT病院では、Z組合とU組合がある。
Zの看護婦ら20余名は、病院内の一室で職場集会を開催したところ、TはZに対して、勤務時間中の職場集会を行なわないよう警告ならびに通告書を交付した。
しかし、その後も、Zの組合員が、病院内のテニスコートで職場集会を開いたところ、再度、Tは警告書を交付した。
また、Tは、Zとの間で、協定を締結することなく、チェック・オフを実施してきたが、Zから相当数の脱退者が出たことから、これを機に、対象者が明らかになるまでチェック・オフを中止し、チェック・オフ協定が成立していないことを理由にチェック・オフを拒否した。
Zは、組合集会に対する警告とチェック・オフの中止が支配介入に当るとして、救済申し立てを行なった。
Y(中労委)が、Xの支配介入を認めたため、その取り消しを求めて、Xが提訴したところ、一審と二審では、Yの命令を支持したことから、Xが上告した。
「一般に、労働者は、労働契約の本旨に従って、その労務を提供するためにその労働時間を用い、その労務にのみ従事しなければならない。
したがって、労働組合またはその組合員が労働時間中にした組合活動は、原則として、正当なものということはできない。
また、労働組合またはその組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の所有し管理する物的施設を利用して組合活動を行なうことは、これらの者に対しその利用を許さないことが当該物的施設につき使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、当該物的施設を管理利用する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであり、正当な組合活動に当らない。
・・・結局、病院が本件職場集会・・・に対して本件警告書を交付したとしても、それは、ひっきょう支部組合またはその組合員の労働契約上の義務に反し、企業秩序を乱す行為の是正を求めるものにすぎないから、・・・不当労働行為に該当する余地はないというべきである」。
労基法24条1項但書は、過半数代表者が使用者との間で賃金の一部を控除して支払うことに合意し、かつ、これを書面による協定とした場合に限り、同項本文違反が成立しないとした。
「いわゆるチェック・オフも労働者の賃金の一部を控除するものにほかならないから、同項但書の要件を具備しない限り、これをすることができないことは当然である。
・・・本件チェック・オフの中止が労基法24条1項違反を解消するものであることは明らかであるところ、これに加えて、Tが・・・チェック・オフをすべき組合員(従業員)を特定することが困難である・・・として本件チェック・オフを中止したこと、及びTが実際に・・・チェック・オフ協定案を提案したこと等を併せ考えると、本件チェック・オフの中止は、Tの不当労働行為意思に基づくものともいえず、結局、不当労働行為に該当しない」。
(済生会中央病院事件 最二小判平成元・12・11 民集43巻12号)
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