労働組合の分裂の判例
<判例>
X組合(旧組合)は、上部団体であるA組合に加入していたが、Aの傘下にとどまろうとする少数派とAの傘下を離脱しようとする多数派との内部対立が生じ、多数派が、臨時組合大会において、組合規約に反して「起立」の方法により賛成多数で組合の解散を決議し、Y組合を結成した。
解散に反対した組合員は、そのままXに残留したが、会計係がYに加入したため、組合財産は、Yの管理するところとなった。
そこで、Xが解散決議の無効と組合財産と同額の損害賠償を求めた。
「労働組合において、その内部に相拮抗する異質集団が成立し、その対立抗争が甚だしく、そのため、組合が統一的組織体として存続し活動することが事実上困難となり、遂に、ある異質集団に属する組合員が組合・・・から集団的に離脱して新たな組合・・・を結成し、ここに新組合と旧組合の残留組合員による組合・・・とが対峙するに至るというような事態・・・が生じたとしても、一般的には、このことだけで、旧組合がいわば自己分解してしまったと評価することはできず、むしろ、旧組合は、組織的同一性を損なうことなく残存組合として存続し、新組合は、旧組合とは組織上全く別個の存在であるとみられるのが通常であって、ただ、旧組合の内部対立によりその統一的な存続・活動が極めて高度かつ永続的に困難となり、その結果旧組合員の集団的離脱及びそれに続く新組合の結成という事態が生じた場合に、はじめて、組合の分裂という特別の法理の導入の可否につき検討する余地を生ずるものと解される」。
(名古屋ダイハツ労組事件 最一小判昭和49・9・30 労判218)
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