ストライキで営業阻止の判例
<判例>
X会社は、従業員約115名を擁し、常時42台のタクシーを稼動させて旅客運送事業を経営している。
Xの一部の従業員で組織されたA組合は、基本給の引き上げなどをめぐってXと団体交渉を行なってたが、妥結せず、ストライキを実施することとした。
その際、Aの組合員が乗務することになっていたタクシー6台について、X側において稼動させるのを阻止するために、Aの組合員らは、車庫に赴き、タクシーの傍らに座り込んだり、寝転んだりして、車庫を占拠した。
そこで、Xは、Aの役員と上記争議行為を指揮・実行した上部団体の役員ら6名(以下、Yらという)に対して、逸失利益等の損害賠償を請求した。
「ストライキは必然的に企業の業務の正常な運営を阻害するものではあるが、その本質は労働者が労働契約上負担する労務供給義務の不履行にあり、その手段方法は労働者が団結してその持つ労働力を使用者に利用させないことにあるのであって、不法に使用者側の自由意思を抑圧しあるいはその財産に対する支配を阻止するような行為をすることは許されず、これをもって正当な争議行為と解することはできないこと、また、使用者は、ストライキの期間中であっても、業務の遂行を停止しなければならないものではなく、操業を継続するために必要とする対抗措置を採ることができることは、当裁判所の判例・・・の趣旨とするところである。
そして、右の理は、非組合員等により操業を継続してストライキの実効性を失わせるのが容易であると考えられるタクシー等の運行を業とする企業の場合にあっても基本的には異なるものではなく、労働者側が、ストライキの期間中、非組合員等による営業用自動車の運行を阻止するために、説得活動の範囲を超えて、当該自動車等を労働者側の排他的占有下に置いてしまうなどの行為をすることは許されず、右のような自動車運行阻止の行為を正当な争議行為とすることはできないといわなければならない。
右タクシー等の運行を業とする企業において、労働者は、ストライキの期間中、代替要員等による操業の継続を一定の限度で実力により阻止する権利を有するようにいう原判示は、到底是認することのできないものである」。
(御国ハイヤー事件 最二小判平成4・10・2 労判619)
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