注文者と請負者の使用者責任の判例
<判例>
Y2会社は、Y1会社がA会社から請け負っていた建設工事の一部をさらにY1から請け負い、Bほか数名を雇用して塗装業務に従事させていたところ、昭和43年1月22日、Bは、塗装作業に従事中、事故で死亡した。
Bの両親及び弟妹であるXらは、Y1及びY2に対し、安全保障義務の不履行及び不法行為により生じた損害の賠償を求める訴えを提起した。
第一審はXらの請求を棄却、Xらが控訴した。
以下のような原審の判断を前提としこれを基本的に維持し、一部棄却、一部破棄自判の判決を下した。
原判決判旨「Bの使用者であるY2に・・・安全保障義務の存在することは明らかである」。
また、使用者が安全保障義務は「独り雇用契約にのみ存するものではなく、仮令それが部分的にせよ事実上雇用契約に類似する使用従属の関係が属する場合、即ち労働者が、法形式としては請負人(下請負人)と雇用契約を締結したにすぎず、注文者(元請負人)とは直接の雇用契約を締結したものではないとしても、・・・実際上請負人の被用者たる労働者と注文者との間に、使用者、被使用者の関係と同視できるような経済的、社会的関係が認められる場合には注文者は請負人の被用者たる労働者に対しても請負人の雇用契約上の安全保障義務と同一内容の義務を負担する」。
本件においてY1は、Y2との下請負契約を媒介とし、Y2の工事に介入し、直接間接に指揮監督しており、「Y2の塗装工に対し使用者と同視しうる関係にあるというべく・・・Y1は・・・自らは雇用契約を締結していない・・・Bらに対しても、・・・安全保障義務を負担する」。
(大石塗装・鹿島建設事件 福岡高判昭和51・7・14 民集34巻7号 最一小判昭和55・12・18 民集34巻7号)
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