労働組合の統制権の判例
<判例>
Y組合は、定期大会で、参議院議員選挙で、A政党の候補者を推薦することとし、大会決議に反する行動をとった場合には、統制処分することを決議した。
ところが、選挙期間中、組合員Xは、B政党系の団体が推薦する候補者のポスター1枚を会社構内に掲示した。
そこで、Yは、Xに対して統制違反として除名処分とした。
Xはこの処分の無効確認を求めて提訴し、一審・二審ともにXの請求が認められたため、Yは上告した。
「労働組合は、憲法28条による労働者の団結権補償の効果として、その目的を達成するために必要であり、かつ、合理的な範囲内においては、その組合員に対する統制権を有するが、他方、公職の選挙に立候補する自由は、憲法15条1項の保障する重要な基本的人権の一つと解すべきであって、労働組合が、地方議会議員の選挙にあたり、いわゆる統一候補を決定し、組合を挙げて選挙運動を推進している場合に、統一候補の選にもれた組合員が、組合の方針に反して立候補しようとするときは、これを断念するよう勧告または説得することは許されるが、その域を超えて、立候補を取り止めることを要求し、これに従わないことを理由に統制違反者として処分することは、組合の統制権の限界を超えるものとして許されないと解すべき」であり、「この理は、労働組合の統制権と組合員の立候補の自由との関係についてのみならず、立候補した者のためにする組合員の政治活動の自由との関係についても妥当する」。
Yの大会決議は、組合の統制権の限界を超えるものとして無効である。
(中里鉱業所事件 最二小判昭和44・5・2)
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