一斉年次有給休暇の判例
<判例>
A組合は、警職法改悪反対統一運動に参加し、勤務時間内に許可なく職場大会を開いたこと等を理由として、懲戒処分を受けた。
これに抗議するため、Aの組合員Xは、B支部での闘争に参加する目的で、昭和33年12月9日に、同月10と11日の2日間の年次有給休暇を請求し、この2日間出勤しなかった。
C林野庁はこの年休請求を不承認として、2日分の賃金をカットしたため、Xがこのカット分の支払を求めて提訴した。
一審と二審はXの請求を認容したため、Y(国)が上告した。
「労基法39条1、2項の要件が充足されたときは、当該労働者は法律上当然に右各項所定日数の年次有給休暇の権利を取得し、使用者はこれを与える義務を負うのであるが、この年次休暇権を具体的に行使するにあたっては、同法は、まず労働者において休暇の時季を「請求」すべく、これに対し使用者は、同条3項但書(現4項)の事由が存する場合には、これを他の時季に変更させることができるものとしている」。
「年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である、とするのが法の趣旨であると解するのが相当である」。
「ところで論旨は、休暇の利用目的に関連して、いわゆる一斉休暇闘争の場合を論ずるが、いわゆる一斉休暇闘争とは、これを、労働者がその所属の事業場において、その業務の正常な運営の阻害を目的として、全員一斉に休暇届を提出して職場を放棄・離脱するものと解するときは、その実質は、年次休暇に名をかりた同盟罷業にほかならない。
したがって、その形式いかんにかかわらず、本来の年次休暇権の行使ではないのであるから、これに対する使用者の時季変更権の行使もありえず、一斉休暇の名の下に同盟罷業に入った労働者の全部について、賃金請求権が発生しないことになるのである」。
(白石営林署事件 最二小判昭和48・3・2 民集27巻2号)
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