男女間の賃金格差の判例
<判例>
Xらは、Y銀行に雇われている女性労働者である。
Yに雇われている行員の給与は、当時の就業規則によれば、「基本給は本人給、職能給より構成する」と規定されており、@Aという2つの本人給表が毎年度作成されていた。
この2つの本人給表は、25歳に達するまでは同一金額であるものの、それ以降は@の金額がAの金額を上回り、年齢の増加とともに格差は拡大している。
昭和42年度から44年度までは、扶養家族の有無にかかわらず、男性労働者には当該年度の@に掲げる金額が支払われ、女性労働者には当該年度のAに掲げる金額が支払われた。
昭和45年度については、扶養家族を有する男性労働者には同年度の@に掲げる金額が、扶養家族がない男性労働者にはAに掲げる金額が支払われるものとしたうえで、(Yの主張によれば、前年度からの減額を避けるため)男性労働者のみに調整給が支払われ、結果として男性労働者全員に@に掲げる金額が本人給として支払われ、女性労働者全員に同年度のAに掲げる金額が支払われた。
そこでXが、女性であることを理由として、賃金について男性労働者と差別的取り扱いをしたものであるとして、かかる給与の支払は憲法14条、労基法4条、民法90条に違反して無効であるとして、差額賃金の支払を求めたのが本件である。
男女間で異なる賃金表を用いる場合、他に特段の事情のない限り「Yにおいて、Xらが女子であることを理由として、賃金(本人給及び臨時給与)について、男子と差別的取扱をしたものであると推認することができ、Yにおいて、このことは、性別と関係なしに定められたものであるとして、右の推認を動揺させるに足りる立証をしない限り、Yの不利益に事実を仮定することになる」。
本件において、Yの反証は不十分であり、Yが本人給を決定する場合において、女子行員に対し、年齢に応じ当該年度の低い本人給表であるAに掲げる金額の支払をしたことは、女子について男子と差別的取り扱いをしたものであるといわなければならない。
労働契約において、使用者が、労働者が女子であることを理由として、賃金について、男子と差別的取り扱いをした場合には、労働契約の右の部分は、労働基準法4条に違反して無効であるから、女子は男子に支払われた金額との差額を請求することができるものと解するのを相当とする」。
(秋田相互銀行事件 秋田地判昭和50・4・10 判時778)
転職サイトを使いこなす!
スポンサードリンク
|
|