事業承継で不採用の判例
<判例>
業績が悪化して経営不振に陥ったA会社の首脳陣は、事業の存続を図るためにY会社を設立し、同社に全資産および債権債務等を承継した。
Aは平成5年6月30日に従業員65名全員を解雇し、翌31日付けで解散した。
その後Yは、これらの従業員の採用を開始し、採用希望の従業員のうち、解散前から地域労組に加入して退職勧奨に反対する活動などをしていたXを含む6名を、不採用とした。
Xは、Yに対して地位保全等仮処分の訴えを起こした。
「Xとしては、労働契約がYに承継されることを期待する合理的な理由があり、実態としてもAとYとの間に高度の実質的同一性が認められるのであり、YがAとの法人格の別異性、事業廃止の自由、新規契約締結の自由を全面的に主張して、全く自由な契約交渉の結果としての不採用であるという観点からXとの雇用関係を否定することは、労働契約の関係においては、実質的には解雇法理の適用を回避するための法人格の濫用であると評価せざるをえない。
したがって、Aにおける解雇及びXの不採用は、AからYへの営業等の承継の中でされた実質において解雇に相当するものであり、解雇に関する法理を類推すべきものと解する」。
(新関西通信システムズ事件 大阪地決平成6・8・5 労判668)
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