誹謗中傷で解雇の判例
<判例>
Y法人の経営する高校の再建のために、A校長が就任したところ、その学校運営等をめぐって教員間で対立が生じた。
同高校の社会科教員であるXは、遅刻や業務命令拒否等の行動を理由に昭和62年に解雇されたため(第一次解雇)、同年裁判所に地位保全等仮処分を申請した。
それに前後して、Xは秋田弁護士会長および同会宛に、Aの人権無視や調査を求める旨の文書を送った。
さらに、訴訟継続中に、取材に来た週刊誌記者にこれら文書に関する説明をして、記事として掲載された。
そこでYは、これらの行為が就業規則各規定に違反するとして、第一次解雇を撤回して新たに解雇の意思表示をした。
原審は、これを解雇権の濫用に当たると判断したため、Yが上告した。
原審認定の事実によれば、「Xは、文書・・・により、Yの学校教育及び学校運営の根幹に関わる事項につき、虚偽の事実を織り交ぜ、または事実を誇張歪曲して、X及びAを非難攻撃し、全体としてこれを誹謗中傷したものといわざるを得ない。
さらに、Xの「週間アキタ」誌の記者に対する文書・・・の情報提供行為は、前示のような問題のある情報が同誌の記事として社会一般に広く流布されることを予見ないし意図してされたものとみるべきである。
以上のようなXの行為は、Aの名誉と信用を著しく傷つけ、ひいてはYの信用を失墜させかねないものというべきであって、Yとの間の労働契約上の信頼関係を著しく損なうものであることが明らかである。
第一次解雇がAの学校運営に批判的で勤務状況にも問題のある被上告人を排除しようとして性急にされたうらみがないではないことや、Xが、秋田弁護士会または同弁護士会会長あてに前記各文書を交付したのが第一次解雇の効力をめぐる紛争中のことであったことを考慮しても、右の評価が左右されるものとはいえない。
そして、Xの勤務状況には、・・・問題があったことをも考慮すれば、本件解雇が権利の濫用に当たるものということはできない」。
(敬愛学園事件 最一小判平成6・9・8 労判657)
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