就業規則で退職金減額の判例
<判例>
Y農協は、昭和48年に7つの農協の合併により新設された農協である。
Xらは、旧A農協から引き続きYに勤務し、定年退職した職員である。
Xらの退職金は、合併前は旧A農協の就業規則の適用を受けていたが、合併後はYの就業規則が遡及適用され、それにより退職金の支給倍率が、64から55、55に変わるなど低減するところとなった。
ただ、給与についてはもっとも高額であった旧農協に準拠して調整することとし、給与調整等により増額された。
しかし、Xらは、調整増額された給与に、Aにおいて定められた支給倍率を乗じて算定される退職金の金額と、現に受領した退職金との差額が未払いであるとして、その支払を請求した。
原審が請求を認容したので、Yが上告した。
「・・・右にいう当該規則条項が合理的なものであるとは、当該就業規則の作成または変更が、その必要性及び内容の両面からみて、それによって労働者が被ることになる不利益の程度を考慮しても、なお当該労使関係における当該条項の法的規範性を是認できるだけの合理性を有するものであることをいうと解される。
特に、賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成または変更については、当該条項が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合において、その効力を生ずるもとというべきである」。
(大曲市農協事件 最三小判昭和63・2・16 民集42巻2号)
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