労働条件変更の判例
<判例>
スウェーデンに本社を持つY会社は、他の外国2社とともにA会社を設立し、日本ではAの従業員は、Yと労働契約を締結している。
Xらは、その地上職従業員およびエア・ホステスである。
Aは、航空部門が赤字に転落したため、希望退職の募集などをしていたが、さらに、日本人従業員全員に対して、早期退職募集と再雇用の提案を行い、退職金の割増支給を提示して早期退職の募集期限を発表した。
その上で、年棒制の導入、退職金制度の変更、労働時間の変更、雇用の有期契約化など、多くの面で低い労働条件を提示した。
これについて、全従業員140名のうち115名が早期退職に応じたが、Xら25名はこれに応じなかった。
そこで、AはXらに対して、順次、新賃金を提示して早期退職と再雇用への応募を促したが、いずれも応募しなかったため、この25名を解雇した。
このうちXら16名が、解雇の効力を争い、従業員たる地位仮処分を申請した。
「この解雇の意思表示は、要するに、雇用契約で特定された職種等の労働条件を変更するための解約、換言すれば新契約締結の申し込みをともなった従来の雇用契約の解約であって、いわゆる変更解約告知といわれるものである」。
「会社とXら従業員との間の雇用契約においては、職務及び勤務場所が特定されており、また、賃金及び労働時間等が重要な雇用条件となっていたのであるから、本件合理化案の実施により各人の職務、勤務場所、賃金及び労働時間等の変更を行うためには、これらの点についてXらの同意を得ることが必要であり、これが得られない以上、一方的にこれらを不利益に変更することはできない事情にあったというべきである」。
「しかしながら、労働者の職務、勤務場所、賃金及び労働時間等の労働条件の変更が会社業務の運営にとって必要不可欠であり、その必要性が労働条件の変更によって労働者が受ける不利益を上回っていて、労働条件の変更をともなう新契約締結の申し込みがそれに応じない場合の解雇を正当化するに足りるやむを得ないものと認められ、かつ、解雇を回避するための努力が十分に尽くされているときは、会社は新契約締結の申し込みに応じない労働者を解雇することができるものと解するのが相当である」。
(スカンジナビア航空事件 東京地決平7・4・13 労判675)
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