業務上災害で解雇の判例
<判例>
Xは、昭和48年にY会社に雇用され、高度の資格を取得してベテラン客室乗務員として勤務していたところ、平成3年にY手配の送迎のタクシーで交通事故に遭った。
以来、平成5年10月まで業務上災害による休業を、それ以後は有給休暇と病気欠勤を取得して、平成7年1月1日から病気休職に入った。
その後、同年7月6日付で、復職が認められた。
しかし、XはYの命により、復帰者訓練を受けたところ不合格と判定され、その後も繰り返し不合格の判定を受けた。
そこで、Yは、平成8年1月24日、Xに対し、「労働能力の著しい低下」等を理由として、解雇する旨の意思表示を行った。
高裁は地裁の以下の判示を、ほぼそのまま引用した。
「しかしながら、労働者が休業または休職の直後においては、従前の業務に復帰させることができないとしても、労働者に基本的な労働能力に低下がなく、復帰不能な事情が休職中の機械設備の変化等によって具体的な業務を担当する知識に欠けるというような、休業または休職にともなう一時的なもので、短期間に従前の業務に復帰可能な状態になりえる場合には、労働者が債務の本旨に従った履行の提供ができないということはできず、右就業規則が規定する解雇事由もかかる趣旨のものと解すべきである。
むろん、使用者は、復職後の労働者に賃金を支払う以上、これに対応する労働の提供を要求できるものであるが、直ちに従前業務に復帰ができない場合でも、比較的短時間で復帰することが可能である場合には、休業または休職に至る事情、使用者の規模、業種、労働者の配置等の実情から見て、短時間の復帰準備時間を提供したり、教育的措置をとることなどが信義則上求められるというべきで、このような信義則上の手段をとらずに、解雇することはできないというべきである」。
(全日本空輸事件 大阪地判平成11・10・18 労判772 大阪高判平成13・3・14 労判809)
転職サイトを使いこなす!
スポンサードリンク
|
|