無給の起訴休職処分の判例
<判例>
Xは、Y会社における機長資格操縦士として勤務していたが、男女関係にあったYの元客室乗務員を床上に引き倒して安静加療約10日間を要する頸部捻挫等の傷害を負わせたとして傷害罪で刑事訴追された。
YはXに対し、平成8年4月25日に乗務停止、同年5月20日、Xが刑事訴追を受けたことを理由に無給の休職に付した。
そして、刑事事件の無罪判決後、Xは、平成9年11月28日に本件休職処分を解かれて復職した。
Xは、起訴休職処分の無効確認および休職期間中の賃金等の支払を求めて訴えを提起した。
「このような起訴休職制度の趣旨は、刑事事件で起訴された従業員をそのまま就業させると、職務内容または公訴事実の内容によっては、職場秩序が乱されたり、企業の社会的信用が害され、また、当該従業員の労務の継続的な給付や企業活動の円滑な遂行に障害が生ずることを避けることにあると認められる。
したがって、従業員が起訴された事実のみで、形式的に起訴休職の規定の適用が認められるものではなく、職務の性質、公訴事実の内容、身柄拘束の有無など諸般の事情に照らし、起訴された従業員が引き続き就労することにより、Yの対外的信用が失墜し、または職場秩序の維持に障害が生ずる恐れがある場合でなければならず、また、休職によって被る従業員の不利益の程度が、起訴の対象となった事実が確定的に認められた場合に行われる可能性のある懲戒処分の内容と比較して明らかに均衡を欠く場合でないことを要するというべきである」。
(全日本空輸事件 東京地判平成11・2・15 労判760)
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