配転命令と労働者の健康や利益
配転の場合には、労働者本人の健康への配慮もなされなければならず、うつ病による1年3ヶ月の病気休暇明けに、旭川支社から東京への転勤を命じることは、業務の必要性によるとはいえ、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益といいうるとしています。
(損害保険リサーチ事件 旭川地決平成6・5・10 労判675)
また、うつ病による病気休職明けに、病状や治療の必要性、本人の治療についての意向に対する配慮を欠いたままなされた配転の結果、病状を悪化させた事案において、通常甘受すべき程度を超える不利益を負わせる違法な配転として、不法行為に基づく慰謝料等の請求を認めたものがあります。
(鳥取県・米子市事件 鳥取地判平成16・3・30 労判877)
降格や職務変更を伴う配転により賃金が減額される場合、賃金減給の程度は、経済的不利益の内容として権利濫用の判断の要素となり、それが著しいときは、配転命令が権利の濫用となる場合もあるとしています。
(日本ガイダント仙台営業所事件 仙台地決平成14・11・14 労判842)
降格に伴い嫌がらせとして、課長から総務部の受付業務へ配転した事実について、人格権を侵害するものとして、慰謝料請求が認められたものがあります。
(バンク・オブ・アメリカ・イリノイ事件 東京地判平成7・12・4 労判685)
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