極秘文書漏洩で懲戒解雇の判例
<判例>
X1とX2は、Y会社の従業員で受注業務などに従事していた。
Yは3年後の業務状態を数字で示した文書を経営再建のために作成し、極秘扱いとしていた。
同文書が、誤って余計に複写されて保管されていたところ、Xらは若干部数の複写を作成し、計画に反対するための組合の資料として、Yの同僚と社外の組合幹部に漏洩した。
Yは、Xらの行為が、労働協約の「業務上重要な秘密を他に洩らしまたは洩らそうとした者」、就業規則の「業務上重要な秘密を社外に洩らしまたは洩らそうとしたとき」に、それぞれ該当するとして、X1とX2を懲戒解雇した。
これに対し、X1とX2は、当該漏洩行為は、組合活動家で共産党員でもある自分たちを排除するために捏造された事実であると主張し、懲戒解雇は無効であるとして提訴した。
「労働者は労働契約にもとづく付随的義務として、信義則上、使用者の利益をことさらに害するような行為を避けるべき責務を負うが、その一つとして使用者の業務上の秘密を洩らさないとの義務を負うものと解せられる」。
「秘密にかかわり合う程度は労働者各人の職務内容により異なるが、管理職でないからといってこの義務を免れることはなく、また自己の担当する職務外の事項であっても、これを秘密と知りながら洩らすことも許されない」。
このことは、労働協約や就業規則が「従業員に右のような義務があることを前提として、それぞれ会社の業務上重要な秘密を洩らした者を懲戒解雇する旨定めていることからも、明らかである」。
本件の漏洩は「行為の目的・態様・情状に照らし、極めて重大であって・・・これだけで両名一律に懲戒解雇の措置をとっても」あえて不当とはいえない。
(古河鉱業足尾製作所事件 東京高判昭和55・2・18 労民集31巻1号)
転職サイトを使いこなす!
スポンサードリンク
|
|