労働契約が無効となる場合
労働基準法は、労働条件の最低基準を定めることを本旨としており、労働条件の基準は、当事者の合意によってもそれを下回ることはできないとされます。
例えば、労働基準法は「1日について8時間を超えて、労働させてはならない」と定めているため、労働者の側から「1日10時間勤務にしてほしい」旨の申出があり、労使間に合意が成立したとしても、労働契約はその部分について無効となります。
1日10時間労働と定めた部分が無効となり、無効となった部分は、この法律で定める基準となります。
(労働時間)
労働基準法第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
2 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
これは、労働契約のうち労働基準法に違反する部分についてのみ生じ、それ以外の部分の効力には影響を及ぼしません。
例えば、労働契約において「1日10時間労働・賃金1万円」と定めた場合には、時間給の定めと解釈される場合を除いては、この契約は「1日8時間・賃金1万円」と修正されます。
(橘屋事件 大阪地判昭和40・5・22 労民集16巻3号)
労働契約の存立そのものが労働基準法などの強行法規や公序良俗に反するとき、その労働契約は全体として無効となります。
例えば、最低年齢未満の児童を使用する契約などです。
労働契約が無効となるとしても、労働の提供という事実的労働関係の存在は消し去ることはできませんから、使用者はすでに提供した労働に対する支払を拒否したり、発生した労働災害に対する災害補償の責任を免れることはできません。
転職サイトを使いこなす!
スポンサードリンク
|
|