就業規則違反の戒告の判例
<判例>
Xは、Y公社のA電報電話局に勤務し、電話交換の作業に従事する職員であったが、頸肩腕症候群と診断され、Yの健康管理規程に定める指導区分のうち、最も病状の重い「療養」にあたることとされた。
その後、指導区分の変遷を繰り返し、Xが、本来の職務である電話交換の作業に従事せず、電話番号簿の訂正等の事務に従事していたところ、Yは、Xに対し、頸肩腕症候群の精密検診を受診するよう、2度にわたって業務命令を発したが、Xはこれを拒否した。
Yは、Xに対し、受診拒否が就業規則59条3号(上長の命令に服さないとき)の懲戒事由に該当に該当するとして、戒告処分に処した(他に職場離脱も懲戒事由とされている)。
「労働条件を定型的に定めた就業規則は、一種の社会的規範としての性質を有するだけでなく、その定めが合理的なものであるかぎり、個別的労働契約における労働条件の決定は、その就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして、法的規範としての性質を認められるに至っており、当該事業場の労働者は、就業規則の存在及び内容を現実に知っていると否とにかかわらず、また、これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず、当然にその適用を受けるべきであるから・・・、使用者が当該具体的労働契約上いかなる事項について業務命令を発することができるかという点についても、関連する就業規則の規定内容が合理的なものであるかぎりにおいてそれが当該労働契約の内容となっているということを前提として検討すべきこととなる。
換言すれば、就業規則が労働者に対し、一定の事項につき使用者の業務命令に服従すべき旨を定めているときは、そのような就業規則の規定内容が合理的なものであるかぎりにおいて当該具体的労働契約の内容をなしているものということができる」。
Yの就業規則および健康管理規程の内容は、「職員が労働契約上その労働力の処分をYに委ねている趣旨に照らし、いずれも合理的なものというべきであるから」、右の職員の健康管理上の義務は労働契約の内容となっているものとみるべきである。
(電電公社帯広局事件 最一小判昭和61・3・13 労判470)
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