就業規則の時間外の判例
<判例>
Xは、Y会社に雇用されてそのA工場に勤務していたが、手抜き作業があったことから上司のB主任にそのやり直し作業のため、その日に残業をするよう命じられた。
ところが、Xはこの残業命令に従わず、翌日に命じられた作業を行った。
そこで、Yはこの残業拒否につきXを出勤停止の懲戒処分にした。
しかし、Xはこの処分後も始末書の提出を拒み、その後管理者らの説得に応じて始末書を提出したものの、反省の態度がみられないとしてその受領を拒否され、再度の始末書提出の求めに対し、かえって挑発的な発言をしたこと等から、Yは、Xの態度が過去4回の懲戒処分と相まって、就業規則所定の懲戒事由「しばしば懲戒を受けたにかかわらず、なお悔悟の見込がない」ときに該当するとして、Xを懲戒解雇した。
そこで、Xは本件懲戒解雇は無効であると主張して、雇用契約上の地位確認を求め提訴した。
なお、就業規則には、Yは、業務上の都合によりやむを得ない場合には、Xの加入するA工場労働組合との協定により1日8時間の実働時間を延長することがある旨定められていた。
また、Aの過半数組合との間において、「会社は、・・・D生産目標達成のため必要がある場合、E業務の内容によりやむを得ない場合、Fその他前各号に準ずる理由のある場合は、実働時間を延長することがある。
前項により実働時間を延長する場合においても月40時間を越えないものとする。
但し緊急やむを得ず月40時間を超える場合は当月1ヵ月分の超過予定時間を一括して予め協定する」旨の本件三六協定が締結され、所轄労働基準監督署長に届けられていた。
「思うに、労働基準法・・・32条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(いわゆる三六協定)を締結し、これを所轄労働基準監督所長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該三六協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは、当該就業規則の規定の内容が合理的なものである限り、それが具体的労働契約の内容をなすから、右就業規則の規定の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて労働する義務を負うものと解するを相当とする」。
(日立製作所武蔵工場事件 最一平成3・11・28 民集45巻8号)
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