欠勤扱い期間中の賃金の判例
<判例>
Xは、21年以上にわたりY会社の建設工事現場における現場監督業務に従事していたが、バセドウ病に罹患しているとの診断を受け通院治療を受けていたところ、Yから新たな現場の現場監督業務に従事すべき旨の業務命令を受けたので、病気のため現場作業に従事できないこと、残業は1時間に限り可能なこと、日曜日・休日の勤務は不可能であることなどを申出、診断書を提出した。
それに対して、YがXに対し当分の間自宅で病気治療すべき旨の命令を発したので、Xは事務作業を行うことはできるとして主治医の診断書を提出したが、YはXが現場監督業務をできないとして自宅治療命令を持続した。
Yは、Xが現場監督業務に復帰するまでの期間中Xを欠勤扱いとし、その間の賃金を支給せず、賞与も減額した。
そこで、Xは欠勤扱い期間中の賃金と賞与の減額分をYに請求して提訴した。
「労働者が職種や業務内容を特定せず労働契約を締結した場合においては、現に就業を命じられた特定の業務について労務の提供が十全にはできないとしても、その能力、経験、地位、当該企業の規模、業種、当該企業における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供をすることができ、かつ、その提供を申し出ているならば、なお債務の本旨に従った履行の提供があると解するのが相当である。
そのように解さないと、同一の企業における同様の労働契約を締結した労働者の提供し得る労務の範囲に同様の身体的原因による制約が生じた場合に、その能力、経験、地位等にかかわりなく、現に就業を命じられている業務によって、労務の提供が債務の本旨に従ったものになるか否か、また、その結果、賃金請求権を取得するか否かが左右されることになり、不合理である」。
(片山組事件 最一小判平成10・4・9 労判736)
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