労働者の採用時の注意義務
労働者の採用時の注意義務として、例えば、中途採用の場合に、内部の運用基準により初任給を新卒採用者の下限に格付けすることを決定したにもかかわらず、応募者に対してそのことを明示せず、給与条件につき新卒同年次定期採用者と差別しないとの説明をしたときは、労基法15条1項違反のほか、雇用契約締結に至る過程における信義誠実の原則にも反するとされます。
(日新火災海上保険事件 東京高判平成12・4・19 労判787)
(労働条件の明示)
労働基準法第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
また、新たに労働契約を結ぼうとする場合は、勤務先があるときはこれを解約し、転職予定があってもこれを断念しなければならないことから、使用者は自らが示した雇用条件をもって応募者らの雇用を実現することができるよう配慮すべき信義則上の注意義務があるとされます。
(わいわいランド事件 大阪高判平成13・3・6 労判818)
「事業者は、常時使用する労働者を雇入れるときは、当該労働者に対し、・・・医師による健康診断を行わなければならない」としています。
これは、雇入れた際における適正配置、入職後の健康管理に役立てるために実施するものであって、選考時に実施することを義務付けたものではありません。
しかしながら、採用選考の一環として、血液検査を含む、必要以上の健康診断を実施している企業も存在し、プライバシー権との関係でも問題となります。
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