会社都合と自己都合の退職

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会社都合と自己都合の退職

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会社都合と自己都合の退職

契約の解約については、契約当事者のどちらかから解約の申入れが行われ、相手がそれに合意して解約が成立し、労働契約についても同じことで、使用者または労働者から契約解除の申入れがされ、それに相手が合意することで退職が成立します。

労働契約では会社からの申入れであれば会社都合であり、労働者からのものであれば、自己都合ということになります。

会社都合ということになれば、解雇理由の有無が問題となりますし、解雇予告手当の支払が生じる可能性が出てきますし、退職金の算定は通常会社都合と自己都合で算定率を変えている会社が多く、支給金額も違います。

失業することで具体化する雇用保険の受給開始日や基本手当の所定給付日数の取扱も退職理由によって違ってきます。

<判例>

原告は、被告の一連の不法行為により、退職を余儀なくされたものであるから、退職金算定のための退職事由別係数は「自己都合によるとき」としてではなく、「病院の都合によるとき」に準ずるものとして、この規程を類推適用するのが相当である。

もっとも、(原告作成の退職願)には、退職理由として「一身上の都合により」と記載されているが、これは、退職のいわば決まり文句であって、この記載があるからといって、原告の退職を自己都合と認めるべきものではない。

(黒田病院事件 東京地判 平6・3・7 労判655)

使用者が解雇の意思表示をした場合において、労働者が解雇が無効であるとしてその効力を争って賃金請求をするときには、自らが客観的に就労する意思と能力とを有していることも要件事実の一つして主張立証すべきであり(いわゆる「労働者による解雇の承認」の主張は、合意解約または信義則違反の抗弁に当る場合のほか、労働者が客観的に就労する意思と能力とを有しているとの主張事実に対する積極否認に当る場合があることとなろう。)、他方、労働者が解雇の効力をあえて争わず、労働契約が終了させるが、違法な解雇であるとして不法行為による損害賠償請求をするときには、労働者が客観的に就労する意思と能力とを有しているとの点は、当然のことながら要件事実とはならないことになる。

このように、労働者が客観的に就労する意思と能力を有しているとの事実は、使用者が解雇の意思表示をすることにより労務を受領拒絶した場合に、労働者がいかなる法規範に基づく請求権を行使するかの分水嶺としての意味を有することになる。

(ペンション経営研究事件 東京地判 平9・8・26 労判734)

自己都合退職願を提出したのは、近く懲戒解雇される蓋然性が高く、懲戒解雇された場合に長期間にわたる裁判は、年齢や家族状況に照らして負担が大きいと畏怖して心理的に追い詰められた状態となり、この状態を回避するため即時に自己退職願いを作成したものと考えられ、脅迫によるものとして取消しうる。

(ネスレ日本合意退職事件 水戸龍ヶ崎支判 平12・8・7 労判793)

控訴人Aは、平成7年3月のBとの個別面談の際、Bの退職要求を承諾して引継の指示を受け入れ、その後退職に向け必要な引継等を行い、4月3日の個別面談の際に4月30日かぎりの退職を最終的に承諾し、その後も残務整理等を行い、Bによって指示された4月30日をもって出社しなくなり、その後直ちに他の会社に就職したものと認めるのが相当である。

このように控訴人Aが不承不承ではあってもBの退職要求を受け入れたことについては、前記認定のような被控訴人会社の控訴人Aに対する各種対応に、控訴人A自信不満を持ち、反発しながらも、他方では被控訴人会社で働き続ける意欲を次第に失い、会社を替わったほうがよいとの気持ちを持つに至っていたという背景があったものと推測される。

(ユニ・フレックス債務不存在確認請求・地位確認等請求事件 東京高判 平11・8・17)

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