出向命令についての判例

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出向命令についての判例

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出向命令についての判例

出向とは、労働者が出向元企業との間で労働契約によって、出向先企業の指揮命令を受けて働くことをいい、元の企業に籍を置いたままの在籍出向と、完全に相手先に籍を移す転籍出向があります。

<判例>

Aの自殺前の労働時間をみると、休日出勤が極端に多いわけではなく、残業も1ヶ月当り30時間ないしは34、5時間であり、接待などで遅くなることがあったとしても、恒常的に過重といえるような長時間労働をしていたとはいえないが、上記のとおり、職務の大きな変化、勤務地の変化、初めての単身赴任等であることを考えると、労働時間だけを重視するのは相当ではない。

以上のとおり、Aは、精神障害の症状が発現した平成8年1月の11ヶ月前に、職務に極めて大きな変化があり、その職務は入社以来長期間従事していた職務とは大きく異なるものであり、勤務地が大きく変わり、しかも、初めての単身赴任となり、そのような状況が継続していたというのであるから、Aに対する心理的負荷の程度は、平均的な労働者を前提として考えても、極めて大きかったというべきである。

(テトラ事件 東京地判 平21・2・26 労判990)

Aは、本件出向後、その業務としてこれまで担当したことのない機械の設計等を担当することになり、その設計等に利用するCADもこれまで使用したことのないものを使用せざる得ない状況の中で、実現不可能な納期による業務を命じられ、かつ、命じられた業務については出向元の会社への出張という形式で支援は得られたものの、所属する部署の業務は恒常的に繁忙であり、技術面で相談できる上司等や業務を命じることができる部下もいないあいだ、支援が乏しい状況に置かれていたとはいえ、このような立場に置かれた平均人としては、通常の出向に伴う業務や周囲の環境の変化以上に強い心理的負荷を感じるものというべきである。

(四国化工機事件 高松高判 平21・12・25 労判999)

亡Aは、それまで徳庵工場の営繕チームにいたところ、平成12年2月、本件プロジェクトの設備面の責任者となったのであるから、判断指針別表1の「配置転換」があったに該当するといえるが、本件会社において、海外に新工場を建設するというプロジェクト自体は、本件会社の既存の部署に異動するだけでなく、むしろ、その規模や目的からすると、本件会社においては通常行われない、しかも、その存立にかかわる重要な事業というべきであり、むしろ実質的には「新規事業の担当になった」ともいうべきであり、その平均的ストレス強度は「(2)」に該当する。

(スターライト工業事件 大阪地判 平20・5・12 労判968)

本件出向は、B社の繁忙期の人員不足を補うための5ヶ月という短期間のものであるから、A社は、当該職員が出向先での仕事に困難が生じたとして相談してきた場合には、・・・疲労や心理的負荷が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないように配慮し、出向先の会社に勤務状況を確認したり、出向の取り止めや休暇取得や医師の受診の勧奨等の措置を取るべき注意義務を負う。

(広島地判 平16・3・9 労判875)

労働者の健康状態の悪化を認識していたか、あるいは、それを認識していなかったとしても、その健康状態の悪化を容易に認識したような場合には、結果の予見可能性を肯定してもよいと解するのが相当であり・・・このことは、A2(発注会社)とA1(請負会社)とで異ならない。

被告等は、連帯して賠償責任を負担すると解する。

(アテスト事件 東京地判 平17・3・31 労判894)

一般に、使用者は、その雇用する労働者に対し、当該労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことのないように注意すべき義務(安全配慮義務)を負う。

そして、使用者が労働者に対し、異動を命じる場合にも、使用者において、労働者の精神状態や異動のとらえ方等から、異動を命じることによって労働者の心身の健康を損なうことが予見できる場合には、異動を説得するに際して、労働者が移動に対して有する不安や疑問を取り除くように努め、それでもなお労働者が異動を拒絶する態度を示した場合には、異動命令を撤回することも考慮すべき義務があるといえる。

(ボーダフォン事件 名古屋地判 平19・1・24 労判939)

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