降格処分についての判例

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降格処分についての判例

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降格処分についての判例

<判例>

本件降格処分は、懲戒処分として行われたものである。

そして、被告の就業規則上、「降格」処分については、懲戒の種類として記載があることは認められるものの、いかなる場合に降格処分となるのかという要件が定められていない。

懲戒処分は、会社秩序維持のため、使用者が、労働者に対し、配置転換や昇給・昇格の低査定などとは別個に科す特別の不利益である以上、懲戒の事由が予め就業規則等で明記され労働契約の内容となっていることが必要であると解すべきである。

したがって、本件降格は規程に基づかないものであるから無効である。

(フジシール事件 大阪地判 平12・8・28 労判793)

Aに対する本件降級処分が有効であるというためには、Bは、具体的事実による根拠を挙げて、Aの顕在能力と業績が7級に期待されるものと比べて著しく劣っていると判断することができるものであることを示す必要があるというべきところ、Bの主張する降級理由がいずれも認めるに足る的確な証拠の存在しない本件にあっては、本件降格処分は、権限の裁量範囲を逸脱したものとして、その効力はないものと解するのが相当である。

(マッキャンエリクソン事件 東京高判 平19・2・22 労判937)

婦長と平看護婦は待遇面では役付手当5万円がつくか否かにしか違いがないうえに、本件降格が予定表という重要書類の紛失を理由としていることなどに照らすと、被告が降格を行うと判断したことは一応理解できなくはないけれども、一方本件降格が実施された直後に、原告が予定表を発見していることに照らすと、被告が原告に対し、紛失した予定表を徹底的に探すように命じたのか否かにつき疑問も存し、予定表の発見が遅れたことについて原告のみを責めることもできないこと、予定表の紛失は一過性のものであり、原告の管理職としての能力・適性を全く否定するものとは断じ難いこと、近時、被告において降格は全く行われておらず、また、原告は婦長就任の含みで被告に採用された経緯が存すること、勤務表紛失によって被告に具体的な損害は全く発生していないこと等の事情も認められるのであって、以上の諸事情を総合考慮すると、本件においては、被告において、原告を婦長から平看護婦に降格しなければならないほどの業務上の必要性があるとはいえず、結局、本件降格はその裁量判断を逸脱したものといわざるを得ない。

(医療法人大森記念病院事件 東京地判 平9・11・18 労判728)

このような本件給与減額は、原告の同意のもとに行われたものでないことは明らかであり、労働契約における合意から基礎付けることのできるものとはいえず、使用者の人事権の発動としても、発端は被告からの一方的な退職勧奨とそれに引き続く自宅待機命令に始まり、結局原被告間で紛争状態となった労働関係について話し合いがまとまらない中で、さらに被告が退職勧奨をするとともに一方的に原告を部長から係長へ降格して給与を従前の半額に減額したものであり、上記経緯からは、合理性、必要性が基礎付けられておらず、人事権の濫用にわたるものと評価せざるを得ない。

(明治ドレスナー・アセットマネジメント事件 東京地判 平18・9・29 労判930)

会社員をAからEの5段階に分類し、Dランク及びEランクの社員を退職勧奨の対象者とした。

原告は希望退職に応じる意思の確認を受けたが、これを拒否した。

なお、この時期、原告と同様に退職勧奨の対象とされた者は他にも10数名おり、これらの者は、希望退職制度に応じたり、他の職種に転換したりしており、最終的に解雇となって者は原告1名のみであった。

本件降格処分は、役職を解くたぐいの降格ではなく、職能部分の賃金の減額をも伴うものであるが、右賃金の額は雇用契約の重要な部分であるから、従業員の同意を得るか、あるいは少なくとも就業規則上にその要件について明示すべきである。

しかし、本件降格処分においては、原告がこれを承諾した事実ないし、就業規則に懲戒処分としての降格の規定はあるものの、原告に対する降格通知をみても、その根拠規定は明らかでない。

結局、本件降格処分の根拠及びその合理性についてはこれを認めることができないというべきである。

(マルマン事件 大阪地判 平12・5・8 労判787)

諸事情を総合勘案すれば、内科部長を免じた点については理由があるが、医員にまで降格した点については明らかに処分として重きに失し、社会通念上相当として是認できないものと言わざるを得ず、したがって、本件処分は原告を医長に降格する限度で是認すべきものと認められる。

(東京医療生活協同組合事件 東京地判 平16・9・3 労判886)

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