仕事のノルマ設定の判例

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仕事のノルマ設定の判例

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仕事のノルマ設定の判例

仕事には目標が設定され、それが実質的にノルマとして労働者に課されますが、ノルマの設定については、企業の採用条件や待遇、そして労働者に求められる資格や能力とのバランスを考慮されるべきです。

能力以上の高い目標を設定されたり、不可能なノルマを課すようなことがあれば、パワハラになるのです。

そして、労働者の能力が十分に発揮されるためには、職場環境や人事配置や人間関係も大切で、そうした企業の努力のないまま、労働者にのみノルマとその結果の責任を問うようなやり方は許されないのです。

<判例>

特にAについて過酷な業務が強いられていたわけではなく、Aの上司による部下に対する指導として許された限度を超えた過度に厳しい指導があったわけではないが、Aは平成12年10月、本件推進担当に任命され、本件支店及びAに課せられた投資信託の販売目標を達成すべく熱心に仕事に取り組んでいたが、思うように販売実績を上げることができず、本件渉外会議において、Bから厳しく注意されるなどして、相当の精神的負担を感じており、そのために軽症うつエピソードに罹患していたことも一つの原因となって自殺したものというべきである。

一般に使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身を損なうことがないように注意する義務を負うと解され、その義務違反があった場合には、雇用契約上の債務不履行(いわゆる安全配慮義務違反)に該当するとともに、不法行為上の過失をも構成すると解すべきである。

(北海道銀行事件 札幌高判 平19・10・30 労判951)

外販異動前のB部長による指導の範囲を超えた厳しい叱責、外販異動後の厳しいノルマの設定及びそのノルマの不達成など、前記3で認定した原告のうつ病発病時期前の出来事に限っても、判断指針によれば、その心理的負荷の強度は「相当程度過重」ないしは「特に過重」なものとして、総合評価は「強」とされるべきであり、平均的な労働者の精神障害を発症させるおそれのある程度の強度の心理的負荷があったということができる。

また、その後の継続的なノルマの不達成、それに対するB部長の厳しい叱責及び島原店異動に伴う、勤務状況の変化等の出来事も、平均的な労働者に対して過重な心理的負担を与えるものであったということができ、これらの出来事が現行のうつ病を憎悪させた可能性は高いというべきである。

(ダイハツ長崎販売事件 長崎地判 平22・10・26 労判1022)

亡Aが営業成績に関し具体的なノルマを課せられていたことを認めるに足りないが、同人は、山梨地域の営業を1人で担当していたものの、営業成績が必ずしも芳しくなく、平成7年度の売上目標も達成できていなかったのであり、B所長から市場データを分析して営業方針を示すことが求められていたにもかかわらず、死亡前日の同年12月1日にも提出できていなかったため、同所長から同日の朝礼で叱責を受けていた。

そうすると、亡Aは、福助工業(B所長)から、山梨地域の売上回復を目指すことを求められ、それが相当程度の精神的負担になっていたとみるのが相当である。

(福助工業事件 東京地判 平20・6・4 労判958)

Aは、売上目標である「予算」を達成することができず、特に11月の「予算」達成率は大幅に落ち込み、このことについて、Aは家族にも悩みを打ち明けたり、友人に対し、他人の売上を借りるなどという手段にまで言及したこともある。

確かに、上司や先輩職員から見れば、「予算」は前年実績に基づくものでもなく、当時のデフレ状況からいして完全に達成することは困難であり、まして新人であれば過度に「予算」達成率を気にする必要はないと考え、その旨指導していたところである。

しかし、本件会社では研修やミーティングの度に「予算必達」等の指示がされ、この際に、新人ゆえに特別扱いをしたわけではないことからすれば、営業担当者として独り立ちしたばかりの新人社員が「予算必達」を真に受けて、あたかもノルマを課せられているように考え、思いつめるのも無理はなく、これを達成することができないことに伴う心理的負荷も大きなものであったと評価するのが相当である。

(関東リョーショク事件 東京地判 平18・11・27 労判935)

Aの営業成績の数値が低迷している原因は、Aの営業能力に起因する部分があるとしても、売上目標達成率との関係では売上目標の設定自体に問題なしとしない上、売上実績の関係では担当症例が少ないことや担当病院の多さ及び広大な担当地域も影響しているといわざるを得ず、Aの営業成績をもって従前の賃金と比較して約半分とする本件配転命令の根拠とするには足りないというべきである。

(日本ガイダント仙台営業所事件 仙台地判 平14・11・14 労判842)

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