過大なノルマでうつ病自殺
企業では、予算、目標などさまざまな形でノルマが課されていますが、ノルマについての受け止め方は個人個人の能力とも関連してくるため、客観的な基準を求めることは難しいのです。
実際にノルマを過大に要求され、それが原因で自殺に追い込まれた判例があります。
<判例>
Aは、平成元年4月、粕屋農協に正規職員として採用され、農機車両や給油所係で勤務し、平成11年4月、金融共済課貯金専任交渉係に配置転換されました。
農協内では、無口で接客が苦手なAの配置転換は、Aの父親の口利きによるものだといううわさがたっていました。
11年度にAに課せられた年間目標は、3億5000万円でした(前年度未達成ペナルテイ含む)。
6月末までのAの達成額は2000万円(同僚とペアのもので、A1人での獲得はゼロ)であり、上司はAに対し「7月中に5000万円達成しないと年間目標を達成できない」などといっていました。
Aは、営業成績が悪いことについて職場内で相談する相手もなく、成績を上げるために妻に生命共済を掛けることにし、その保険料の捻出のため妻が働くことになりました。
そして、その結果Aは、同年5月中頃にはうつ病のエピソードが見られ、7月24日に自殺したのです。 |
<判決の趣旨>
@年間目標は、目標ではなくノルマであり、Aに課せられたノルマは、年齢、能力、体力、経験などから過大なものであったと認定しました。
A職場における噂の存在、上司らがAの業務について支援体制を組むこともしなかったことからすると、Aの心理的負荷はきわめて大きかったと指摘しました。
BAと同種の労働者を基準として考えた場合、配置転換そのものによる業務の変化、配転後の過大なノルマという精神的な負荷に加え、ノルマ達成のための長時間労働による肉体的疲弊が精神障害を憎悪させ、自殺に至らせたと認定しました。 |
ノルマが明らかに過大なもので、本人にとって大きなプレッシャーになってきている場合、それを強要したり、達成できないことを非難する言葉自体がパワハラになることもあります。
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