いじめが業務上の労災認定
使用者には職場環境に対する安全配慮義務があり、職場でのいじめが発生しているのに、何も対応してくれないような債務不履行があった場合に、これをどのように立証するかが問題となります。
裁判では、いじめの事実と防止について、使用者側がどの程度知っていたのか、または知るべきであったのか、そして、予見や回避についての義務がどの程度あったのかなどを判断基準にして、使用者の責任を求めるとしています。
まずは、使用者にいじめの事実を知らせ、使用者は何をすべきで、どこが義務違反となっているのかを具体的に主張していかなければなりません。
会社側にいじめの詳細を訴え、配転やいじめの停止、再発防止などの申入れを繰り返すとともに、いじめの実態を記録するなど、立証の準備をしておきます。
厚生労働省は、中部電力のパワハラが原因でうつ病となり自殺した事件の裁判を受けて、「上司によるいじめによる精神障害等の業務上外等の認定について」という通達を出しており、これによると、上司のいじめの内容・程度が、業務指導の範囲を逸脱し、労働者の人格や人間性を否定するような言動と認められる場合には心理的負荷が最も高いと評価され、さらにいじめの繰り返しがあり、会社がこれに対する支援をしなければ「相当程度過重」もしくは「特に過重」と判断するとしています。
これは、上司などによるいじめが、業務指導の範囲を逸脱したり、人格や人間性を否定するようなひどいものであって、それが反復され、会社が何ら手を打たないようであれば、業務上の労災と認定するとしているのです。
ですので、パワハラを受けて、会社にいけなくなった場合は、労働災害として休職できるのですが、この心身の不調の原因について立証し、労働災害の申請から認定を受けるまでは大変なのです。
とりあえずは、休職して体の調子を整え、悪化を防ぎます。
会社に就業規則があれば、病気休職についての規定などに、勤続年数に応じた休職期間が定められており、その期間は病気休職をすることができます。
こうした病気休職について判例は、「期間中の従業員の労働関係を維持しながら、労務への従事を免除するものであり、業務外の傷病により労務を提供できない従業員に対して・・・退職を猶予してその間傷病の回復を待つことによって、労働者を退職から保護する制度である。」としています。
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