パワハラで安全配慮義務
長時間労働による精神的負荷からうつ病となり自殺した事件で、企業の安全配慮義務が争われた電通事件(最二小判 平12・3・24 労判779)では、「使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う」との判決が出ています。
これが企業の安全配慮義務といわれるもので、この事件以降、過労による自殺やうつ病の発症についての企業の責任を問う裁判が増えています。
また、パワーハラスメントが不法行為として認められ、これが企業の安全配慮義務に反するとして認められた判決(トヨタ自動車損害賠償事件)があります。
出向先(トヨタ自動車)でうつ病を発症し、出向元(デンソー)に復職した後に、再発し休業せざるをえなくなったことについて、健康上の安全配慮義務を果たさなかった両会社に責任があるとして、裁判所は企業の安全配慮義務について、次のことを指摘しています。
@Bの会議の席上での発言は過酷で、パワハラと評価されてもしかたがないと判断された。
その後の2日間の欠勤は、Aのそれまでの経験や勤務への評価からすると異常な事態であるとされた。
Aトヨタは、AがCに「現在の負荷では私一人ではできません」と訴えた時点で、Aに対し、業務の軽減、その他何らの援助を与えるべき義務が生じていた。
その後も、Aの業務遂行の状況や健康状態に注意して援助すべき義務があったが、それを怠り、安全配慮義務違反があると判断された。
Bデンソーは、AがDに「デンソーに帰りたい」と言った時点で、Aと同様の義務が生じ、1回目のうつ病発症前にはデンソーに帰社させる義務が生じ、安全配慮義務違反があると判断された。
C1回目のうつ病による休職はABの義務違反によるものとされた。 |
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