言動がパワハラになる判例
パワハラについて、行為者の側から言われることとして、「指導や教育がやりにくくなる」とか、「きびしい指導とパワハラの違いはどこにあるのか」などがあります。
これは、指導や教育には、多少の言い過ぎはしかたがないとか、相手のためを思ってすることであり、ある程度は受忍すべきだという考え方があるからです。
厳しい指導に多少の行き過ぎはつきもので、相手のためを思ってする指導の行き過ぎは、指導する側の熱意の表れだと考えられてきました。
たとえ指導という形はとっていても、相手のキャリアや人権・人格を傷つけるものであったり、相手の職場での役割や存在自体を否定するものは許されるものではありません。
相手への嫌悪感や否定的なメッセージを発して相手にダメージを与え、心理的に追い込むことも違法だといえます。
また、教育指導である以上、達成可能な業務指示や、相手のもつ能力や努力を否定することで、相手の自信を喪失させたり能力発揮ができない心理状態に追い込むなどのことも、教育、指導ではありません。
<言動が問題になった判例>
「一般に、企業等の労働者が、上司との間で意見の相違等により軋轢を生じる場合があることは、組織体である企業において避けがたいものである。
上司とのトラブルに伴う心理的負荷が、企業等において一般的に生じえる程度のものであるかぎり、社会通念上客観的にみて精神障害を発症させる程度に過重であるとは認められないものである。
しかしながら、そのトラブルの内容が通常予定されるような範疇を超えるものである場合には、従業員に精神障害を発症させる程度に過重であると評価されるのは当然である。」としました。
「言葉自体が過度に厳しい」、「態度に嫌悪の感情の側面がある」、「極めて直接なものの言い方をしていた」、「トラブル解決が困難な環境にあった」ことを指摘して、「人生においてまれに経験することもある程度に強度のものということができ、一般人を基準として、社会通念上、客観的にみて、精神障害を発症させる程度に過重なものと評価するのが相当である」としています。
(日研化学事件 東京地判 平19・10・15 旬1661) |
<問題になった言動>
□存在が目障りだ、いるだけでみんなが迷惑している。
お前のかみさんも気が知れん、お願いだから消えてくれ。
□車のガソリン代がもったいない。
□どこへ飛ばされようと、おれは**を仕事をしない奴だと言いふらしたる。
□お前は会社を食い物にしている、給料泥棒。
□お前は対人恐怖症やろ。
□**は誰かがやってくれるだろう思っているから、何もこたえていないし、顔色一つ変わっていない。
□病院の回り方がわからないのか、勘弁してよ、そんなことまで言わなきゃいけないの。
□肩にフケがべたーとついている、お前、病気と違うか。 |
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