内定取消と経歴詐称と試用期間
大学卒業者の内定は、一般的には、卒業を条件とした労働契約の予約と考えられ、最高裁判所の判例は解約留保権付の労働契約が成立したものとしています。
ですので、通常の解雇と同様に、合理的な理由がない場合は、内定を取消すことはできないのです。
この合理的な理由には、卒業ができない、履歴書等に偽りがある、内定後に健康を害して就業できない、などの場合です。
また、経歴詐称とは、応募の履歴書等に経歴についての偽りがあった場合で、その詐称が発覚するのは、入社後のことです。
軽微な詐称の場合には解雇権の濫用になるとされていますが、企業によっては詐称に対する重大性も異なります。
経歴詐称で大学卒業者が高校卒業者と経歴を詐称した場合、これについては解雇を有効としたもの、無効としたものがあり、裁判所の判断は分かれています。
また、採用された際に、「3ヶ月は試用期間」といわれることがありますが、これは一定期間労働をさせて勤務成績をみて、よければ本採用とし、そうでなければ本採用を拒否するというものです。
この試用期間について、その判断に必要な合理的期間を超える試用期間の定めは公序良俗に反して無効としています。
本採用の拒否は解雇に該当し、合理的な理由が必要ですが、労働基準法はその期間が14日以内であれば即時解雇(予告期間・予告手当不要)ができ、それ以上の場合には解雇予告あるいは予告手当の支払が必要としています。
<判例>
@内定取消し事件
大学生が卒業前に内定を取消された事件について、「採用の内定は、解約権留保付の労働契約が成立したものであって、社会的通念上相当と認められる事由による他は、右内定を取消しえない」としています。
A経歴詐称事件
大学卒業者が高校卒業と経歴を詐称した場合について、「詐称したことによって会社の具体的な企業秩序違反を生ぜしめたとはいえず、解雇は無効である」としています。
同様の事件で有効とした判例もあり、会社の業態に応じて、企業秩序維持違反が問われます。
B試用期間中の事件
試用期間中の解雇の事件で、「試用期間の法的性格は解約留保付労働契約であり、右留保解約権の行使は客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当と是認される場合にのみ許される」としています。 |
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