労働者派遣法の知識
派遣法は、正式名称を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」といいます。
昭和60(1985)年に制定されて翌年7月から施行されています。
制定以来、数次の改正が行われてきて、現在はこの長い法律名称が示すように派遣労働者を保護することを前面に押し出す法律になっているものの、制定当時は法律名称も異なり、労働者保護の概念よりも派遣労働を「派遣」形態の労働による「業」として特定化するという側面が強い法律でした。
供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働させることを「労働者供給」といいますが、この労働者供給業は、従来から職安法においては、一定の労働組合により行われるもののみを認め、それ以外は、原則として禁止していました。
派遣法はこの原則を転換して労働者派遣の名の下に一定要件を備えた労働者供給業を労働者派遣業として公認し、これにより臨時的・一時的な労働力調整システムとしての機能を持たせることを目指した法律として制定されました(法1条)。
このように派遣法は、使用者と労働者間には労働契約がなく、第三者の指揮命令により労務提供する間接雇用と労働者供給の2つの非合法的側面を実体的に内在させながら誕生しました。
こうした法制上の転換の背景には、戦後のわが国の産業構造の急速な第3次産業化があります。
相次ぐコンピューターやエレクトロニクスの開発・導入を契機に就業人口の3分の2以上がサービス業や情報産業等に流入するという状況になりました。
そして、これらに伴う業務の専門職化など産業構造の変化に対応した新たな労働力需給システムの構築が産業界から要請されるようになりました。
また、一方では高齢化社会の進展に伴う高年齢者層への雇用機会を提供するものともいわれていました。
派遣法はこのような時代的背景に即応した独自の特色を呈しながら、派遣労働者保護の立場から派遣労働者の就業条件の整備等を図るためにルール付けをして来ていますが、その全体像は、次のようなもので構成されます。
@派遣業務の範囲、A派遣事業の許可・届出、B派遣契約に定める事項、C派遣受入れ期間の定め、D派遣元および派遣先において講ずべき措置、E個人情報・秘密の管理、F労基法、安衛法等他の労働法との関連適用とその特例、G罰則
転職サイトを使いこなす!
スポンサードリンク
|
|